季衣

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8/21/2025, 11:50:51 AM

君と初めてであったのは大学2年の時
とある資格を取るための少人数クラス。
みんなで一緒にグループワークを
たくさんしたよね。

こういう時、どうする?
みたいな課題をみんなで考える時、
君と私は何故かほかのみんなと違う
意見を出していた気がする。


あとから知った
それは
「経験した人にしか分からない意見」
だということを、

みんなで死ぬ気で現場実習を乗り越え
実習で得た学びを、
実習先の職員の方々の前で発表し、
もうなんか、みんなでいつも一緒にいて
グループLINEは
「課題わからん」「待って、提出期限は?」
にあふれて(笑)


教授陣に
「今年の子達はほんとに仲良しね」
って笑って見守ってくれたね。

そうして、就活の時期。
資格が取れる前提で挑む就活は
重圧が凄かったけど、
みんなで励ましあったね。


君と一緒に就活をしながら、
私が「落ちるのはやっぱり
障害のせいかな」って泣くのを

「障害が理由だったとしたら、
そんなとこに入って働いても
辛いだけだから願い下げだ」
って言ってくれたね

あの日から、私は泣くのをやめて、
戦うことができました。


同じ職場で働くことにはならなかったけど、
別の場所で同じ仕事をすることになった時、
「大丈夫、俺らは痛みを知ってる」
そういった君の目はとても力強かった

そうやって、君と飛び立った社会。
甘くは無いけど、
お互い、何度も何度も傷ついて
慰めあって、頑張ろうって
気合い入れてきたね。


だから、これからもきっと、
私たちは現場に立てる。



いつでも何回でも、
飛び立てるよね






「君と飛び立つ」




8/20/2025, 2:45:44 PM

忘れない記憶、
なんてあるのだろうか。


思い出されるのは
辛かった頃の記憶ばかりだ
私が子供で、
誰も私の声を聞いてくれなかった時期


でもこれからは、
誰かから貰う、優しさの記憶を
大切に抱きしめながら
歩いていこうと思う



「きっと忘れない」

8/19/2025, 11:33:27 AM

涙が溢れるのは、
自分の中になにか
抱えきれない感情が
あるからだと思う。

嬉しい、も
悲しい、も
寂しい、も



子供の頃から
私は圧倒的に「悔しい」
が多い。

なぜ自分は
周りの子と同じようにできないのか。
と、日々思っていた

早期療育にも通わせてもらっていたし
方法は違えど、
結果的にはできるようになったことも
たくさんある。



ただ、それを受け入れるのは、
簡単ではない


「なぜ、私だけリハビリが必要なのか」
「なぜ、私だけみんなのような
かわいい靴が履けないのか」
「なぜ、私だけ、
体育やらないなんてずるい」
と言われなければならないのか。
「なぜ私だけこんなにExcelが苦手なのか」

それは、全て
身体障害や精神疾患の影響だ

誰が悪い訳でもない、
障害も病気も治ることは無い。

できる範囲のことを精一杯やるしか
私の生きる道はなかった。
時には専門家のアイデアを借りて
自助具を使うこともある。
それで、仮にみんなと同じ結果が出ても
結局、過程が違う。

どれだけ、「悔しい」
という感情と向き合ってきたか。
大人になった今でも
仕事に支障が出ることもある
その度に相談させていただきながら
「どうすればできるか」を考える

本来なら、健常者なら、
必要のない行為だ。

この悔しさが、
いつか誰かが困っている時
「私はこういう方法で切り抜けたよ」
という「アイデアのストック」に
なることを祈りながら、
私は今日も、悔しさと向き合う。

私にとってそれは、
自分自身との戦いだ

それでも、どんなに工夫しても、
どんなにダブルチェックをしても、
どんなに自助具を揃えても、
できないことはある

できないことを、
「これはどうやっても無理だ」
と、割り切る時は未だに涙が流れる

なぜ泣くのか。
それは、悔しさが溢れ出したからだ



「なぜ泣くのかと聞かれたから」

8/18/2025, 11:48:55 AM

私には、足音だけで
誰がこちらに向かってくるのか
わかる人が何人かいる

そのうちの1人は
私を20年以上担当してくれた
理学療法士(PT)さんだ。

ランドセル選びから、
大学の卒業時の袴姿、
私の子供時代も
就職や一人暮らしの開始も
ずっと見守ってくれた人だ。

コロナ禍で卒業式ができなかったので、
袴姿で写真だけ撮ったのだが、
その写真を見て
「あなたがこんな笑顔を見せるなんて。
大学時代が充実していた証拠だね」
と、涙を流すほど、
私の体も、心も、支えてくれた人。

今は部署異動されて、
センター内にはいるが
会うことは無い。


その人はリハビリのセンターの中を
常に走っていた。

しかも、車椅子や杖を使って
ゆっくり移動している人や
麻痺の影響で
歩く時に大きく揺れてしまう人が
たくさんいるセンターの中で
誰にもぶつからずに、軽快な足取りで。
どんな訓練をすれば
そんなことができるのか。



そうして、私の顔を見て
「1ヶ月、どうだったー?」と笑顔で聞く
嬉しかったことも、辛かったことも、
全部を彼女に聞いてもらってきた。

両親との関係が
あまり良くない私にとって、
彼女は愛着基盤そのものだった。
訓練前も、後もハグをするのが
お決まりのルーティンだった。

そして、また颯爽と走っていく。
彼女を足音で判断する人は
割と多い。
「なんか、他の人と、
生きてる速度が違うよね」
と、今もお世話になっている
ワーカーさんは笑う


あとから知ったのだが、
彼女の部署異動が決まり、
私の担当をはずれることになった時、
支援チームは頭を抱えたという。

彼女に完全に依存して、
依存することで心を保っていた私に
いつ、誰が、どんな環境で伝えるか

結果的には
ワーカーさん同席で
私はそのニュースを知った


泣き叫ぶ私に、
「センターの中にはいるから!!
ワーカーさんも作業療法士さんも
変更はないから!!
絶対大丈夫だから!!」
という彼女の目も
心のなしか赤かった。



会える機会はかなり少なくなったが
きっと、今の部署でも、
その軽快な足音を響かせながら
誰かのために走っているのだろう。




「足音」

8/17/2025, 10:22:10 AM

強い日差しが体力を奪っていく

8月も後半になったというのに
買い物帰りは急がないと
アイスが溶ける。

花火は、テレビの中継が
1番綺麗に、
しかも涼しい場所で見れる
という事実にはっとする

幼少期、夏といえばかき氷!
だったが、
大人になってしまった今は
屋内で食べるカップアイス派に
なっている

毎年欠かさずやってくる
「夏」という季節が年々
長居しているような気がする


夏休みの宿題、とか
家族旅行、とか
海やプールとか、
そういう、イベントが
無くなったからかもしれない。

夏が来たなぁ、なんて
感じる暇もなく、
やってきて
ずっと居座っている。

次の季節にバトンタッチする時も
きっと、リレーのバトンパスのように
滑らかに君はいなくなるのだろう。

でも、それは
まだずっと先のことのようだ




「終わらない夏」

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