“誰よりも、ずっと”
呼吸が止まった。
やっと消えてくれた理解者。
やっと死んでくれたわだかまり。
遺された僕は笑顔だった。
壊れてしまったのだと美化された。
壊れたのは僕ではない。
まるでついさっきまで生きていたような。
そんな顔も見なくて済む。
ああ、僕のこの20数年間は無駄ではなかった!
高ぶる感情を乗せて今までの精算をした。
ありがとうありがとうありがとう。
細く上った線香と、周りの人の視線、
そしてもう濡れることのない彼の頬に伝う涙が
僕の胸を刺し貫いた。
“これからも、ずっと”
私は何度も逃げた。
名前も存在も変えて俗世に生きた。
私の文、私の一語一句、全てが私たるもの。
それでも私という存在を忌避してしまう。
再会を願う言葉も沢山吐いた。
それは全て私の手で嘘と化した。
私は私自身さえ欺けるほど面の皮が厚かった。
私の本気さえ風のように軽く感じ、
私の冗談で山よりも重くなる。
ありがとう嘘吐きたち。
またどこかで。
“沈む夕日”
橙色の朝焼けを見た。
夜の色が少し薄くなってやっと朝だと気づいた。
焦燥と景色の穏やかさで脳がクラついた。
何も考えることがないくらい満足していた。
触れれば火傷しそうな色のくせして、大気は冷たい。
白い息が出るほど痛くはなかった。
寝転んで砂利のちくちくするのと、
アスファルトの無機質な冷たさに浸っていた。
まだ私には体温があった。
“君の目を見つめると”
怯えきった瞳が私を捉えた。
あの一瞬、轟音とともに崩壊していった。
突き刺さるような瓦礫ももはや蒸発してしまった。
向かい来る終わりというのは呆気ない。
数万キロも先のことさえ風が運んでくる。
走馬灯のように溢れ出る記憶。
目の前にはガラス片に反射した私の瞳_
“星空の下で”
君は罪悪感に溺れるだろう。
手を伸ばしても取れない綺羅星が儚く消えた。
その欠片を落として壊して崩していた。
守ると言ったその腕で、大好きだと騙ったその瞳で。
タイムカプセルを埋めるように。
笹舟を川に流すように。
潮風すら感じない深い底。
遠くなった光を見詰めるだけだった。