“たとえ間違いだったとしても”
彼は快晴の空に誓って死んでしまいました。
どうしても都合が悪かったようで。
そんな子だったんだ、と納得しようと脳は動きます。
一人一人精神の許容量は違います。
彼はきっと許容量が他とは格段に少なかったのでしょう。
快晴のような明るさもどこか不自然だったのでしょう。
弱音を吐かないその心持ちも異常だったのでしょう。
それが本人には当たり前になっているから
だから死んでしまったのでしょう。
いや、嘘だ。
彼は物静かで明るくはなかった。
弱音も吐いていたが周りには届かなかった。
彼の見る世界と彼以外が見る世界は違いすぎる。
死人に口なしとはよく言ったもんだ。
彼自身から語られなければ憶測になるかもしれない。
そんな矛盾ばかり気にしていては、
私もいつか飛び降りてしまうのだろうか。
“雫”
雨が降った。
傘を持っていなかったから濡れるしか無かった。
事情も何もかも無視して強くなっていく。
ツイていない日々
終わってる人間関係
最悪の人間性
全部嫌になった。
家の中の人、傘を差す人、雨宿りをする人
全てが憎たらしく思えてきた。
最初から違った。
凡人に気持ちなんて分からない。
どうしようもない速さで沈んでいく。
この空白を埋められる者はいないと思い知っていく。
“無色の世界”
世界に色など存在しない。
光の波長に勝手に名前をつけただけだ。
白黒だとかカラーだとか、
結局見ているのは同じなのだ。
何も変わっていない。
我々のみが変わっているだけだ。
宇宙に飲み込まれてみろ。
二度と戻れないくらい彩りを失うだろう。
ダイヤモンドが黒鉛に変わる頃、
きっと我々は死により宇宙に融けていく。
光を感じる術を失い揺蕩うだけだ。
そこに個としての意識などない。
生まれてきたことを後悔するのみである。
“桜散る”
風情があると言われた。
儚くて消えてしまいそうだと。
神のように崇められた。
それほど綺麗では無いのに。
もしも私が花だというのなら
きっと周りの花の栄養を啜る生き汚い花だ。
綺麗な花も咲かせられないような花だ。
そんな私を崇めるなんて
邪神を神として宗教を開くのと同じだ。
だから死への片道切符を買ったのだ。
もう今世へは来れないように。
もう咲くことは無いように。
“夢見る心”
Curiosity killed the cat.
...but satisfaction brought it back.
好奇心は猫をも殺す。
…しかし満足がそれを生き返らせた。
9つの命があるといわれる猫でさえ、
強すぎる好奇心に殺されてしまう。
だが、危険を冒してでも
探求、納得することには価値があるということ。
理想を語るだけではただの無能だ。
夢想家は結局脳内で完結してしまうからだ。
その理想にいかに近づけるか、
そこにその人の能力が問われるのだ。
ひとつ叶えばまたひとつ叶うと思ってしまう。
他人の気持ちなんて分かるはずがない。
だから自分を酷使してでもその理想を追い求める。
きっとそれでは現実を過剰に理解してしまい、
理想が到底無理な話なのだと気づいてしまう。
希望に満ち溢れていた理想が
現実味を帯びて塗り替えられていく。
大人になるとはそういうことだ。
歳をとって理想をつまらなくした人間の成れの果てだ。