愛があれば何でもできる?
目が覚めれば、放課後になっていた。
嗚呼…僕はまた寝てしまっていたのか。
また怒られてしまう。
そう思いながら、鞄に教科書やノートを入れる。
鞄に詰めていると、誰かに背中を押された。
誰かと思い振り返ると、“終焉”と呼ばれている子がいた。終焉は僕の反応に満足すると、また寝ようとしていた。僕は慌てて止める。
「寝ないで⁉︎もう下校時刻だよ⁉︎帰らないの⁉︎」
そう言うと終焉は顔を上げて言う。
『もう下校時刻?じゃぁ帰らないと…』そう言いうと終焉は、鞄を掴み出ていった。
僕は暫く呆気に取られていたが、自身も帰宅の準備をして帰路についた。
僕は今日も寝ていた。
いつものように、鞄に教科書やノートを詰めていた。
だが、いつも終焉は僕の背中を押すのに、今日は静かだった。どうしたのかと思い、振り返ったが誰もいなかった。
(終焉は先に帰ったのか。)
そう思い、僕はいつもように帰路についた。
ーGAME OVERー
画面にはそう映し出されていた。
僕はコンテニューを押そうとした。
だが、《コンテニュー》の文字はなかった。
『いつまで、やるんですか?もういい加減諦めたらどうですか?僕だって暇じゃ無いんですよ。
…何ですか?“最後の一回”?分かりましたよ。
これが“本当に最後”です。次上手くいかなかったら、終わりですからね。』
画面に《コンテニュー》が映っていた。
僕は迷いなく始めた。
暗い画面から、
小さい声で何か言ってるのが聞こえた。
“もうやめてよ…”
目が覚めれば、放課後になっていた。
後悔
『なぁ。傑、過去一後悔した出来事ってある?』
とクラスメイトが聞いてきた。
何となく、聞いてくる理由は分かる。
先ほどの作文のお題が、【後悔】だからだ。
俺は其奴の質問に無関心だったが、其奴は何回も聞いてくる為、俺は諦めて話をしてやる事にした。
俺は前世の記憶がある。
『はぁ?』って思うだろ?俺も最初は信じなかった。
だけどさ、本当にあったんだよ。
俺はとある国の総統だった。負け知らずの知らずの国だったな。ある日の事だった。A国から挑戦状?みたいな物が届いて、戦争する事になったんだよ。
戦争していたが、A国には“最終兵器”って言う“人”がいたんだよ。
その最終兵器は俺の“婚約者”だったんだよ。
まぁ…長くなるから端折るぞ。
戦争には勝った。『婚約者はどうした?』って?
まぁ待て。順番に話すから。
婚約者は自国で保護したよ。
しかし、目を話した時にはいなくなっていたよ…。
探した。やっと見つけた時には、もう…。
婚約者の傍には、手紙が落ちていた。
ん?内容?教えないぞ?思い出すと、辛いからな。
簡単に言うと、俺に宛てた手紙だ。
「そこからは、もう記憶が曖昧だから適当なことは言えない。だからもう聞くな。」
俺がそう言うと、クラスメイトは『えぇ〜』なんて言うけれど、俺が睨むと黙った。
「ほら、早く書かないとお前はやらないだろ?」
クラスメイトは渋々書き始めた。
俺の前世は本当に、《後悔先に立たず》だったな。
そう思いながら、窓の外を見た。
丁度、銀色の髪を靡かせた女子が通った。
目元が見えたが、目のところに縦に傷が入っていた。
そういえば、“銀歌”にもあったような。
俺は慌てて教室を飛び出した。
確かめたかった。“銀歌”かどうか。
別人や覚えてなくてもいいから…。
今度は後悔なんてしたく無いから。
風に身をまかせ
風に身をまかせて、自由気ままに歩く。
どこまで行くかは、分からない。
だけど、風が止むまで歩き続ける。
なんとなく、歩くと出会いも別れも巡り会う。
風に乗って優しい香りも運んでくる。
今日はどこまで歩こうかな。
失われた時間
俺は雨が降る中、とある墓地に歩みを寄せていた。
彼女の所に着くまで、彼女との想い出を振り返る。
彼女は病弱だった。
しかし、生きようとする姿がとても美しかった。
運命には逆らえないが、儚くも生きたいと思う心は言葉に表せられないほど、
美しく綺麗なものだった。
触れてしまえば、壊れてしまいそうな瞳は、誰のことを映し出していたのだろうか。
それが俺だったらよかったのにな。
今になって気になっても、
彼女はもう覚める事はない。
想い出に浸っていると、彼女が眠る場所に着いた。
俺は持っていた、紫色のクロッカスと赤いアネモネの花束を置いて、手を合わす。
毎年彼女の命日には訪れる。彼女の声は聞こえないけれど...
なんとなく彼女が傍に居る様な感覚がする。
「なぁ…お前がいなくなってから…
もう10年の時が経つ。俺はお前がいなくなって、生きる気力が無くなりかけている。お前がいなくなってから、俺の中の時間は止まっているようだ。だが、時と言うものは残酷で、止まっている様に感じさせて、本当は失わさせているんだ。まぁ…お前には難しいだろうがな…。」
そう言いながら、そっと墓石を撫でる。
嗚呼…
もうお前に触れる事ができなくて、寂しいな。
俺もそろそろ其方に逝きたいな…。
そう思っても、お前は『まだ早いよ』なんて言うだろうな。
俺は立ち上がり、彼女に言う。
「まだ其方には、行けないみたいだ。もし行ける様になったら、迎えに来てくれよな…。」
そう言って墓地を後にした。
《貴方の事愛していますよ》
紫のクロッカス:“愛したことを後悔する”
赤いアネモネ :“君を愛す”
子供のままで
大人になんてなりたくない。
時々夢の世界に、大人になった自分が出てくる。
そして僕の方に振り返って言う。
『なぁ…お前は大人になりたいか…?』
毎回同じ質問をする。
僕は相変わらず何も答えられない。
僕が答えられないと、大人の僕は頭を撫でてくる。
『しょうがないもんなぁ…
子供のお前は今まで愛された事がないから、大人になんてなりたくないもんな。』
そう言いながら、また僕の頭を撫でる。
今回もそう言う夢を見た。
だけど今回は少し違った。
大人の僕の隣に誰か立っていた。
大人の僕が見ていることに気がついたのか、こっちに手を振ってきた。
急いで駆け寄ると、僕の頭を撫でて言う。
『いつまでも子供のままでいたいと思うけど、いつかは大人になっちまう。だけどな、今隣に立っている奴は、将来俺の相棒だ。』
僕が困惑していると、前髪の長い男性が僕を抱きしめてくれた。
その暖かさが嬉しかった。
初めて僕は声を上げて泣いた。