愛を叫ぶ
どんなに叫んでも…
遠くにいる君には僕の声なんて届かないだろう。
だけど声が枯れるまで君のために愛を叫ぶよ。
この想いは決して誰かに掻き消されないだろう。
俺は君が思っているより、
君のことを愛しているよ。
だから、
待っていてくれ。
すぐには、其方にいけないけど、
いつかは
会いにいくよ
だから、
俺が君の所にいった時は
泣かずに
笑顔で
迎えて欲しい。
モンシロチョウ
俺は大切な人を探してる。
約束したんだ。
『生まれ変わっても、ずっと一緒だよ。』
だから、彼を見つけるまで死ねない。
前世は戦争時代。俺はその時死んでしまった。
大切な彼を置いて。
「今日もダメか…」
あれからずっと探している。
彼を見つけようとしても、見つからない。
親友達は「諦めろ」なんて言うけど、彼は俺のことを待っているはずだ。
そう思いながら、彼のことを探すが見つからない。
俺は疲れ切って公園のベンチに座った。
ふと足元を見ると、深緑色の四葉のクローバーを見つけた。それが懐かしく思えた。
前世の頃、俺は四つ葉のクローバーを模った、ペンダントを彼にプレゼントした。
その時の彼は、頬を赤く染めながら受け取ってくれた。その顔が印象的でよく覚えている。
思い出に浸っていると、自然と涙が流れた。
「逢いたいよ…。どこにいるの…。」
何が白いものが視界に入った。
“モンシロチョウ”だ。俺は可愛いなと思いながら、見つめていると、モンシロチョウは俺の頭の上をヒラヒラと舞い始めた。俺が不思議そうに見ていると、何処かに着いて来いと言わんばかりに、しつこく俺の前で舞っていた。
俺はそのモンシロチョウに着いていった。
着いた場所は花畑だった。
色とりどりの花が咲き乱れていた。
こんな場所は知らなかった。
俺がぼんやりと見ていると、モンシロチョウは真っ直ぐ飛んで行き、座っている人の手に止まった。
その人は鈴を転がしたような声で、優しい声で笑っていた。この声聞いた事がある。そう思った瞬間呼んでいた。
「…翡翠…?」
“翡翠”と呼ばれた人は吃驚しながら振り返った。
俺は翡翠の元に駆け寄って、力一杯抱きしめた。
翡翠も抱きしめ返してくれた。
『爛だぁ…やっと、やっと逢えたよぉ…』
翡翠は涙声で俺の名前を呼んでくれた。
俺は翡翠に伝えたいことを伝えた。
「今度はずっと一緒だよ…。」
そう言うと俺はもう一度、翡翠を抱きしめた。
今度は絶対に離れない。
神様今度こそ一緒にいさせてください。
忘れられない、いつまでも。
嗚呼…なんて人間は醜い生き物なのだろうか。
私がいくら彼に恋焦がれようが、私はあの人には伝えたくない。伝えてしまえば、彼は優しいから断らないだろう。人の命は桜の花みたいに短命だ。
人は美しく生き、美しく死んでゆく。
九尾の私は人の命の何百倍も長い。
今まで恋なんてしてこなかった。そもそも人と関わりもしなかった。だから、人はいつの間にか私のことを恐れる様になっていった。
それでよかったのに…彼は私に歩み寄ろうとした。
何日も何年も…。
人は歳をとり、見た目も変わってゆく。
それに比べて私は永遠に変わらない。
私が一年と感じた時間は、人にとっては十年の時間
だんだんと彼も見た目が変わってゆき、気づいた時は老人になっていた。
そして彼は私の横で永遠の眠りについた。
妖怪は難儀な生き物だ。
こんな永い命なんてなくなればいいのに。
人に憧れた九尾は人にはなれない。
“忘れられない、いつまでも。”私は彼を待つ。
一年後
『どーも!こんにちは!僕だよ!僕!え?僕が誰だかわかんない?ひどいなぁ…。泣いちゃうよ?まぁいいか。これを見ているみたいだからね!』
今映ってる人は一年前に死んだ義理の父親だ。
元父親は幼い俺とお袋を置いて…
浮気女と一緒に蒸発した。
お袋は幼かった俺を養うために朝から晩まで働いた。
そして今の彼奴は、そんなお袋に惹かれて結婚した。
その時の俺は反抗期真っ只中だ。お袋が彼奴の事を紹介しても俺は無視を決め込んだ。そんな俺を彼奴は笑顔で俺に「よろしくね」なんて言った。
俺は気に食わなかった。お袋を最初から狙っていたみたいなタイミングで結婚なんてしたから。俺なんて愛されないって思った。俺は彼奴が嫌いだ。
彼奴は俺と仲良くしたいのか、マシンガントークをしてきたが、俺は無視を決め込んだ。
それでも諦めない彼奴がうざかった。俺がどんなに悪口を言っても、無視をしても彼奴はずっと笑顔だ。
なんとなく俺はその笑顔に恐怖を感じていた。
彼奴はお袋と一緒にいる時が一番楽しそうだった。
俺は必要とされていないような気がした。
その日食べた彼奴の料理は味なんてしなかった。
ある日のことだ。俺はお袋と喧嘩をした。
きっかけは些細なことだったが、徐々にヒートアップしていった。俺はつい言ってはいけない事を言った。
「彼奴と再婚なんてしなきゃ良かったのに!」
その場がシン…となった。俺はその場に居たくないと思って外に駆け出した。背後からお袋が俺の事を呼んでいる事に気づかないふりをした。
俺はいつの間にか道路まで出ていた事に気づいて、戻ろうとしたが向かってくるトラックに気づかなかった。轢かれる寸前俺を何者かが突き飛ばした。
俺は突き飛ばされて地面に転がった。痛みに耐えながら先ほどの方を向くと、そこには血だらけの彼奴がいた。そこからはあまり覚えていないが、彼奴は即死だったらしい。お袋は泣き叫んでいたが、俺は涙なんて出なかった。
葬式が済んだ数日後、俺は彼奴の遺品整理をした。
お袋は彼奴が死んだ後俺の事を恨んだりはしなかった。しょうがないみたいな表情をしていた。俺がお袋を呼ぶと、お袋はいつもの笑顔で俺の方を向く。
なんとなく申し訳ないと思ってしまう。
ある程度遺品整理が終わると、一つの白い何も書いていないDVDを見つけた。
俺は気になり、DVDをつけてみた。そこには彼奴の姿が映っていた。彼奴がいた場所は病室…?
俺が不思議そうに眺めていると、画面の中の彼奴が話し始めた。
『どーも!こんにちは!僕だよ!僕!え?僕が誰だかわかんない?ひどいなぁ…。泣いちゃうよ?まぁいいか。これを見ているみたいだからね!』いつもの彼奴もテンションだ。彼奴はドッキリでも仕込んで知るのか?と思った。
『__?なんで僕がこんな場所にいるかわかんないよね。実はね僕はあまり長くないんだって…__はもうこの意味が分かるよね?』
俺は焦った。彼奴に限ってそんなことはないと思っていたからだ。予想外な言葉に俺が息を呑んでいると彼奴は続けて話す。
『本当はね…__や彼女ともっと一緒にいたかった。
だけどね…話すとより__は毛嫌いしそうだなって思って彼女にしか話さなかった。本当にごめんね…。いつかね…__達と旅行とか、買い物とかしたかった。
でも僕が彼女を救えるって思ったタイミングが、__の反抗期と重なってしまったから、より__の心を傷つけてしまったね…。ごめんね…。あっと!まだ話したい事沢山あるけど、カメラが限界に近いから簡単に話すね。』
俺はいつの間にか涙を堪えるのが限界だった。
『僕は先に逝ってしまう。また寂しい思いをさせちゃうけど、僕はいつまでも彼女や__の事を愛してるからずっと傍にいるからね。』
画面の中の彼奴は涙をこぼしながら言っていた。
もうカメラの限界が近づいていた。動画が終わる前に彼奴の最後の声が聞こえた。
『もっと生きたかった…』
それで動画は終わった。
俺はなんてひどい事をしたんろうか。“父さん”って最後くらい呼べば良かったのに…。
俺は父さんの部屋の中で、涙が枯れるくらい泣いた。
「本当に父さんごめんね…」
俺の声だけが何もない空間に響き渡った。
初恋の日
私は好きな人ができた。
だけど私の好きな人は、私の事なんて見ていない。
あと…あの人は私の事なんて知らない。
関係性もないし、私は目立つような人ではない。
なのになんで好きになったんだろう。
一目惚れ?かな。私が入学した時に迷子になったのを助けてくれたからかな。でもさ…あの人はモテる。いつも困っているけど、やっぱり嬉しいのかな…。
この想いに蓋をしてしまおう。伝えてしまえば、噂が流れるかもしれないし、あの人も困ってしまうかも。
あの人とすれ違う時も目立たないようにしている。
本当になんで恋なんか…。
初恋の日が忘れられたら、どれだけ良かったのだろうか。
俺は恋なんてしたことがなかった。
いろんな女が言い寄って来ているけど、俺は興味がなかった。俺に言い寄ってくる女は金・顔だけで、俺の中身を見てくれる人なんていなかった。
だけど、入学式の時迷子になっていた女の子を助けた。その女の子は、小柄で色白、長髪に整った顔。でもその泣き顔がとっても印象的だった。
俺は初めて恋をした。
俺は卒業前には告白したいな…なんて思った。
この初恋の日を俺は忘れないだろうな。