SHADOW

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忘れられない、いつまでも。

 

 嗚呼…なんて人間は醜い生き物なのだろうか。


 私がいくら彼に恋焦がれようが、私はあの人には伝えたくない。伝えてしまえば、彼は優しいから断らないだろう。人の命は桜の花みたいに短命だ。
人は美しく生き、美しく死んでゆく。
九尾の私は人の命の何百倍も長い。
今まで恋なんてしてこなかった。そもそも人と関わりもしなかった。だから、人はいつの間にか私のことを恐れる様になっていった。

それでよかったのに…彼は私に歩み寄ろうとした。
何日も何年も…。
人は歳をとり、見た目も変わってゆく。
それに比べて私は永遠に変わらない。
私が一年と感じた時間は、人にとっては十年の時間
だんだんと彼も見た目が変わってゆき、気づいた時は老人になっていた。

 そして彼は私の横で永遠の眠りについた。

妖怪は難儀な生き物だ。
こんな永い命なんてなくなればいいのに。
人に憧れた九尾は人にはなれない。

“忘れられない、いつまでも。”私は彼を待つ。

5/9/2024, 11:05:59 AM