霜月 朔(創作)

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8/20/2025, 6:59:05 AM

なぜ泣くの?と聞かれたから

8/19/2025, 6:45:58 AM

足音



傷付いた心を抱え、
一人、空を仰ぐ。
もう戻らない過ぎた日に、
想いを馳せる。

俺の中で、色褪せない、
大切な想い出。
毎日の様に聞いた、
まだ、幼かった君が、
一生懸命俺を追い掛けてくる、
小さな小さな足音。

小さな君の足音は、
次第に大きく、
ゆっくりになって。
俺を追い掛けていた君は、
少しずつ大きくなった。

いつかきっと。
大人になった君と、
並んで歩ける日が来ると、
俺は勝手に夢見てた。

でも。
俺の心が、闇に囚われ、
立ち止まっている間に、
君はずっと先に行ってしまった。

俺が漸く目を開けた時。
笑顔の君の周りには、
たくさんの仲間が居て、
微笑む君の隣には、
俺の知らない男が居た。

君は、俺の知らない所まで、
歩いて行ってしまった。
幸せそうな君を、
俺は見送る事しか、
出来ないんだね。

…もう。
君の足音は、聞こえない。
…もう二度と。


8/18/2025, 8:34:25 AM

終わらない夏



人の醜さに傷付き、
残酷な世の中に傷付けられ、
社会には居場所が無く、
街の片隅に隠れるように、
息を潜め、生きている私達。

昼間は余りに騒がしく、
無遠慮だから、と、
星が主役として輝く、
静かな夜を好む貴方。

満月は、
人の心を掻き乱すから、と、
貴方は、月にさえ遠慮して、
折れそうな三日月を眺め、
私に温かく、優しく、
微笑みかけてくれました。

でも、私は知っています。
貴方が、静かで薄暗い部屋の、
カーテンの隙間から、
輝く真夏の太陽を、
憧れの眼差しで、
見詰めている事を。

貴方の心を離さない、
真夏の太陽。
終わらない夏。

そんな、貴方の心を狂わせる、
太陽なんていう、
酷く無遠慮な幻影を、
消してしまいたくて。

月さえ顔を出さない、
新月の夜。
私は貴方の胸に、
月の光にも似た、
銀色の刃を突き立てました。

貴方から溢れ出す赤色が、
黒い大地を濡らしていきます。
これで貴方は、
永遠に私だけのもの。

ゆっくりと、夜が明けます。
早起きな真夏の太陽が、
真っ赤に染まった、
貴方を、私を、照らします。

目を開けぬ貴方。
目を閉じる私。
登る朝日。
まだ、終わらない夏。


8/17/2025, 7:32:40 AM

遠くの空へ

8/16/2025, 4:50:30 AM

!マークじゃ足りない感情



残酷な世の中で、
何も与えられず、
傷だらけになり、
社会から見捨てられ。

たったひとり。
飢えと孤独に震えていた、
ボロボロの私に、
救いの手を差し伸べてくれた、
優しい貴方。

冷たく醜い他の人間とは違う、
貴方という人を知り、
私は初めて、
愛を知りました。

私にとって、
貴方は世界の全てだったのに、
貴方には、
私以外の世界が存在したのです。

だから、私は。
誰も知らない場所に、
貴方を閉じ込めました。
貴方が私以外の世界を、
二度と見ないように。

陽の射さない、地下の牢獄。
蝋燭の僅かな灯りが、
仄かに貴方と私を照らし、
湿り気を含んだ空気が、
二人を包み混みます。

もう、苦しまなくていいのです。
貴方を苦しめる物は、
この部屋には、
何一つ無いのですから。

…そう。
私が貴方に捧げたのは、
!マークじゃ足りない感情。
二人きりの永遠の世界。

誰よりも、愛しい貴方。
私はここに居ます。
ですから。
このまま、二人で…。

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