霜月 朔(創作)

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7/30/2025, 5:44:19 AM

タイミング


『ごめんなさい』
が、言えなくて。

お前の顔を見ると、
口から出るのは、
嫌味や悪態ばっかり。

ボクが悪いって事は、
分かってるのに。
お前が相手だと、
どうしても素直になれなくて。

夜、ベッドの中で、
頭まで布団を被って、
独り呟くのは、
心に溜まり続ける、
『ごめんなさい』。

お前を怒らせて。
哀しい顔させて。
イライラさせて。

それでも。ボクを、
嫌わないでいてくれるお前に、
心の何処かで甘えてる。

謝れないのは、
間が悪いからと、
タイミングの所為にして、
ボクは、ボクの心からも、
逃げてるんだ。

認めたくないんだ。
ホントは…
ずっとお前に憧れてたなんて。

心の中で揺蕩う、
『ごめんなさい』と、
『大好き』が、
ボクの口から飛び出す、
タイミングを伺ってる。

だから、ボクは、
それを隠すように、
明日も歯を食い縛るんだ。


7/29/2025, 5:42:02 AM

虹のはじまりを探して



君と初めて出逢った時。
君は心も身体も、
傷だらけで、
孤独に震えていた。

そんな君と、
一緒に過ごして、
君との心の距離が、
少しずつ近付いて。

それでも。
君の心はこの世界から、
離れている気がしたから、
君の願いを聞いてみた。

私と一緒に、
虹のはじまりを探して。

そう告げた君の目が、
余りに綺麗だったから、
君を強く抱き締めた。

君がそう願うなら、
私は君と一緒に旅に出よう。
虹のはじまりを探して。

君の心は彼方にあり、
此処には居ないのだから、
人の世に縛られる必要はない。
君が笑ってくれるなら、
私は他に、何も要らない。

君の心が想い描く、
虹のはじまりは、
どんな色をしているのだろう。

例え、どんな色を湛えていても、
それが君の真実ならば、
それで、いい。

きっと虹のはじまりは、
穢れきったこの世とは違う、
美しい場所だろうから。

7/28/2025, 1:34:16 AM

オアシス


人の世には、
残酷な砂嵐が吹き荒び、
人々の心は、
ひび割れ、カラカラに乾く。

街はまるで砂漠の様に、
人の心を容赦無く襲う。
そんな無味乾燥な街の中、
人々は、傷付け合い、
水を、食料を、住処を、
金も、生命さえ、奪い合う。

人はどんな生き物より、
醜悪で残酷で愚かだ。
優しさを持って産まれた者は、
それを隠さねば、
生きては行けない。

遠い南の地にある砂漠には、
オアシスがあると聞く。

水のない酷く乾燥した、
見渡す限り砂の世界に、
突如現れるという、
水が揺蕩う緑の地。

だが。
俺が暮らす、
この砂漠より、乾ききった社会に、
オアシスなんて代物は、
存在する筈がない。

カラカラの喉を、
人の生命で潤す。
血で穢れた手を、
濁った泥水で洗う。

空を見上げると、
容赦無く照りつける太陽。

俺は何時まで、
生きなければならないんだ。

ーーー


涙の跡


あの日から、君は、
ずっと独りきりで、
生きていたんだね。

些細な誤解が、
大きなすれ違いになって、
二人の間に、
埋められない溝を作った。

それでも私は、
君を手放す気は無かった。
でも、君は、
私から離れて行った。

久しぶりに見かけた君は、
あの頃より憂いを帯びていて。
寂しげな瞳をして、
作り笑いを浮かべてた。

そして、
誰も居ない窖に逃げ込み、
一頻り、涙を流し、
人前では、涙の跡を見せず、
澄まし顔をしてみせる。

…ねぇ。
独りきりで、
泣くくらいなら、
私の元に帰っておいでよ。

そんな言葉を、
そっと飲み込む。
きっと、今の君の心には、
私の言葉も、想いも、
届かないだろうから。

でも。
ずっと、ずっと、待ってる。
君の涙の跡を、
私の掌で、包み込める夜を。

7/26/2025, 5:24:17 AM

半袖



外は、呆れるほど、
明るい陽射しに照らされて。
空は何処までも蒼く、
緑は眩しい程に輝いて。

太陽の陽射しが苦手なボクは、
カーテンを閉じて、
部屋に閉じ籠もる。

だけど。
薄暗い部屋の中で、
大人しくしていても、
お腹は空く。

夏の陽射しから、
ずっと逃げていることは、
出来ないんだ。

ゆるゆると、
半袖のシャツの上から、
長袖の上着を羽織る。

容赦無く照りつける、
暴力的な夏の陽射しから、
肌を護る為に。

残酷で無遠慮な、
人の視線から、
身を護る為に。

長袖を纏い、
強い陽射しに照らされ、
明るい街を、
足早に通り抜けていく。

夏は…。
ボクを何処まで苦しめれば、
気が済むんだろう。

7/25/2025, 8:47:12 AM

もしも過去へと行けるなら


故郷から離れた地で、
流れてきた、
耳を覆いたくなるような、
残酷な知らせ。

人間の醜い欲望と、
人々の争いで、
いくつもの生命が消え、
街が破壊された、と。

もしも過去へと行けるなら。
叶わぬ願いを抱き、
奥歯を食い縛り、
涙を堪える。

どんなに後悔しても。
どんなに願っても。
時間は逆さには、流れない。

焼け落ちた街も、
失われた生命も、
戻りはしない。

帰る事も叶わない故郷。
記憶の中の故郷は、
今も穏やかなままなのに。

いつか。帰ろう。
懐かしい故郷へ。

例え、瓦礫の山に、
雑草が生い茂っていたとしても。
そこは、
私の故郷なのだから。

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