霜月 朔(創作)

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タイミング


『ごめんなさい』
が、言えなくて。

お前の顔を見ると、
口から出るのは、
嫌味や悪態ばっかり。

ボクが悪いって事は、
分かってるのに。
お前が相手だと、
どうしても素直になれなくて。

夜、ベッドの中で、
頭まで布団を被って、
独り呟くのは、
心に溜まり続ける、
『ごめんなさい』。

お前を怒らせて。
哀しい顔させて。
イライラさせて。

それでも。ボクを、
嫌わないでいてくれるお前に、
心の何処かで甘えてる。

謝れないのは、
間が悪いからと、
タイミングの所為にして、
ボクは、ボクの心からも、
逃げてるんだ。

認めたくないんだ。
ホントは…
ずっとお前に憧れてたなんて。

心の中で揺蕩う、
『ごめんなさい』と、
『大好き』が、
ボクの口から飛び出す、
タイミングを伺ってる。

だから、ボクは、
それを隠すように、
明日も歯を食い縛るんだ。


7/30/2025, 5:44:19 AM