霜月 朔(創作)

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1/13/2025, 9:23:54 AM

あの夢のつづきを



私は、貴方と夢を見ます。
それは、余りに背徳的で。
けれど、酷く甘美な夢。

夢の中では。
私には、貴方以外の恋人はなく、
貴方には、私以外の想い人はない。
そんな…二人だけの世界。

けれど、外の現実では、
私も、貴方も、
立場と責任という鎖に縛られ、
触れ合う事は、赦されません。

それでも、私は、
何処か空虚で満たされぬ、
心の空洞を埋めるように、
貴方の温もりを、
求めずにはいられないのです。

現実が幻であり、
この夢こそが真実なのだと、
そう信じながら、
貴方の熱に蕩けて、
魂の輪郭が溶け合い、
魂さえ、一つになるのです。

夜という闇が、
優しく包む夢の中で、
甘い毒に酔い痴れます。
それは。
蠱惑的な罠に囚われた、
二人だけの秘密。

私はただ、
あの夢のつづきを、見たいのです。
今夜も、明日の夜も。
例えこの罪が、白日の元に晒され、
互いの破滅を迎える日が、
訪れるとしても――。

1/12/2025, 9:37:37 AM

あたたかいね



寒い冬の昼下がり。
柔らかな陽だまりに、
小さな温もりを見つけた。

独りきりの日々は、
視線を落としたままで、
何処か急ぎ足のような、
余裕の無い毎日で。

君が去ったあの日から、
私はぽつりと独りきり。
冬の陽だまりの温かささえ、
いつしか、忘れてしまっていた。

「あたたかいね」

この小さな言葉でさえ、
もう、君には届かない。
吹き抜ける北風よりも、
凍てつく朝霜よりも、
私の孤独は冷たかった。

君のいない冬。
凍りつく寒さよりも、
静かな冷たさの中で、
漸く見つけた微かな温もりが、
君の微笑みじゃないことが、
何より心を切り裂いた。

それならば。
凍える冬の冷たさに、
身を縮めて耐えるほうが、
ずっと楽だったのに。

そんな、儚い強がりさえも、
冬の陽射しの柔らかさに、
少しずつ溶けていく。

1/11/2025, 7:46:41 AM

未来への鍵

 

貴方は静かに、
深い眠りの中で、
長い時を越え、
只、存在し続けています。

まるでマネキンのように、
動かず、変わらず、
時の流れに抗い、
ずっと、そこに佇んでいます。

貴方の魂は、
闇と悪意の渦の中で溺れ、
希望と絶望の狭間で、
孤独に揺蕩っているのでしょう。

だから。

私は変わることなく、
貴方の傍らにいます。
貴方が目を覚ました時、
再び出会えるように。

私は変わることなく、
貴方の居場所を守り続けます。
貴方が目覚めた時、
失われた時が埋まるように。

なぜなら、貴方は、
私の世界の全て。
誰にも代えられない、
唯一無二の存在ですから。

貴方は私が生きる理由。
そして、私の未来への鍵。
閉ざされた時の扉は、
貴方の目覚めを待っています。

1/10/2025, 8:54:57 AM

星のかけら




俺はずっと、
襲い来る黒い悪意に囚われ、
身動きも取れず、
藻掻き苦しんでいた。

そんな俺の帰りを、
君は、信じてくれていた。
俺の孤独な戦いを、
ただ、黙って見守りながら。

君は、俺の帰る場所を護り、
新しい希望の種を、
世界の果てから、掻き集め、
それをそっと育てていた。

だけど。
俺がそれを知ったのは、
絶望の淵を這い上がり、
君が護り続けた、光の場所に
戻ってきた後だった。

君が集めたもの、
それは、きっと星の欠片。

だから、俺は、
その煌めきの欠片ごと、
君を抱き締めたいんだ。

星の欠片は、
ひとつひとつが美しく輝き、
いつの日にか、
この世の暗闇を照らす、
星座になるのだから。

1/8/2025, 3:24:48 PM

Ring Ring…




星空の下、
ボクは一人、静かにステップを踏む。

蒼い月のスポットライトが、
ボクの影を、長く引き伸ばす。

ボクは踊る。
影をパートナーに。
孤独なワルツに、身を任せる。

Ring Ring…

ステップを踏む度、
切なく響く鈴の音。

懐に忍ばせてる、
アイツがくれた、小さな御守り。
その、奥ゆかしくて可憐な鈴は、
今も、ボクを縛るように、
泣いてるんだ。

Ring Ring…

音の一つひとつが、
哀しみの調べを、紡いでく。
鈴の響きに、密かに乗せた、
ボクの想いも、その儚い音色も、
アイツの耳には、届かないだろう。

Ring Ring…

それでも、ボクは踊り続ける。
月が沈む、その瞬間まで、
月に見守られ、影を抱き締め、
…小さな鈴の音と共に。

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