霜月 朔(創作)

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1/12/2025, 9:37:37 AM

あたたかいね



寒い冬の昼下がり。
柔らかな陽だまりに、
小さな温もりを見つけた。

独りきりの日々は、
視線を落としたままで、
何処か急ぎ足のような、
余裕の無い毎日で。

君が去ったあの日から、
私はぽつりと独りきり。
冬の陽だまりの温かささえ、
いつしか、忘れてしまっていた。

「あたたかいね」

この小さな言葉でさえ、
もう、君には届かない。
吹き抜ける北風よりも、
凍てつく朝霜よりも、
私の孤独は冷たかった。

君のいない冬。
凍りつく寒さよりも、
静かな冷たさの中で、
漸く見つけた微かな温もりが、
君の微笑みじゃないことが、
何より心を切り裂いた。

それならば。
凍える冬の冷たさに、
身を縮めて耐えるほうが、
ずっと楽だったのに。

そんな、儚い強がりさえも、
冬の陽射しの柔らかさに、
少しずつ溶けていく。

1/11/2025, 7:46:41 AM

未来への鍵

 

貴方は静かに、
深い眠りの中で、
長い時を越え、
只、存在し続けています。

まるでマネキンのように、
動かず、変わらず、
時の流れに抗い、
ずっと、そこに佇んでいます。

貴方の魂は、
闇と悪意の渦の中で溺れ、
希望と絶望の狭間で、
孤独に揺蕩っているのでしょう。

だから。

私は変わることなく、
貴方の傍らにいます。
貴方が目を覚ました時、
再び出会えるように。

私は変わることなく、
貴方の居場所を守り続けます。
貴方が目覚めた時、
失われた時が埋まるように。

なぜなら、貴方は、
私の世界の全て。
誰にも代えられない、
唯一無二の存在ですから。

貴方は私が生きる理由。
そして、私の未来への鍵。
閉ざされた時の扉は、
貴方の目覚めを待っています。

1/10/2025, 8:54:57 AM

星のかけら




俺はずっと、
襲い来る黒い悪意に囚われ、
身動きも取れず、
藻掻き苦しんでいた。

そんな俺の帰りを、
君は、信じてくれていた。
俺の孤独な戦いを、
ただ、黙って見守りながら。

君は、俺の帰る場所を護り、
新しい希望の種を、
世界の果てから、掻き集め、
それをそっと育てていた。

だけど。
俺がそれを知ったのは、
絶望の淵を這い上がり、
君が護り続けた、光の場所に
戻ってきた後だった。

君が集めたもの、
それは、きっと星の欠片。

だから、俺は、
その煌めきの欠片ごと、
君を抱き締めたいんだ。

星の欠片は、
ひとつひとつが美しく輝き、
いつの日にか、
この世の暗闇を照らす、
星座になるのだから。

1/8/2025, 3:24:48 PM

Ring Ring…




星空の下、
ボクは一人、静かにステップを踏む。

蒼い月のスポットライトが、
ボクの影を、長く引き伸ばす。

ボクは踊る。
影をパートナーに。
孤独なワルツに、身を任せる。

Ring Ring…

ステップを踏む度、
切なく響く鈴の音。

懐に忍ばせてる、
アイツがくれた、小さな御守り。
その、奥ゆかしくて可憐な鈴は、
今も、ボクを縛るように、
泣いてるんだ。

Ring Ring…

音の一つひとつが、
哀しみの調べを、紡いでく。
鈴の響きに、密かに乗せた、
ボクの想いも、その儚い音色も、
アイツの耳には、届かないだろう。

Ring Ring…

それでも、ボクは踊り続ける。
月が沈む、その瞬間まで、
月に見守られ、影を抱き締め、
…小さな鈴の音と共に。

1/7/2025, 10:41:14 AM

追い風


貴方はいつも。
迷える俺の、
行き先を照らしてくれる、
道標だった。

必死に追い続けた、貴方の背中は、
俺にとっては、夢そのものだった。

だけど。
希望だった貴方は、
突然、この世界を去った。
まるで、風が止むように、
何の前触れもなく。

残された俺は、
未熟なまま、独り、
先の見えない荒野に、
立ち尽くしている。

それでも。
俺の中の、貴方は消えない。
想い出の中で生きる貴方は、
今でも鮮やかに、
俺を見詰めている。

困難が立ちはだかっても、
絶望が眼前を覆い尽くしても、
貴方の笑顔が、
そっと、俺の背中を、
押してくれるんだ。

優しく、力強く、
俺を、明日へと運んでくれる。
…追い風のように。


………



君と一緒に



君は私を見詰めていた。
その澄み渡る蒼い瞳には、
喜びと哀しみが、
静かに揺れていた。

君のその手には、
銀に輝く刃が握られている。
静寂を切り裂くように、君は囁く。
…もう、苦しまなくていいのです。
私が、貴方をを救ってあげます。

この酷く歪んだ世界で、
未練と後悔に苛まれ、
孤独の鎖に縛られながら、
血に塗れ、醜態を晒し続ける私。

こんな私を、君は見捨てなかった。
この世に生きていくには、
余りにも純粋で、優し過ぎる君が、
救いの手を差し伸べてくれた。

…あなたを独りにはしません。
私も一緒に行きますから。
そう言って、微笑んだ君の姿は、
儚く、哀しい程に美しかった。

ならば、君と一緒に。

その微笑みに、私は身を委ねた。
目を閉じ、君の手に全てを預ける。

銀色が閃き、赤が滴る。
終焉の静寂の中。
静かに響いたのは、
何処か異質な…君の声。

コレデアナタハ、
エイエンニ、ワタシダケノモノ…

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