霜月 朔(創作)

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8/27/2024, 6:13:51 PM

雨に佇む


雨が降り頻る朝。
独り森を歩く。

朝靄のような霧雨は、
次第にその雨粒を、
大きくしていった。

雨粒は森の木々の、
豊かな緑の葉を叩く。
その静かな音が、
疲れ切った私の心を、
僅かに癒やしてくれる。
そんな気がした。

私は雨が降り頻る森で、
そのまま、独り佇む。
雨を避ける事なく。
降り頻る雨が、
私の罪を洗い流してくれないか。
そう想いながら。

雨に佇む。
雨は私も木々も地面も、
別け隔てなく濡らしていく。
そう。私は、孤独だ。

私は雨降る中、
森を彷徨った。

そして。
雨で烟る森の出口に、
私を待つかの様に、雨に佇む
懐かしい人影を見た。

8/26/2024, 5:36:05 PM

私の日記帳



私の日記は、
貴方に伝えたい事で、
溢れています。
桜の花の話や、
美味しいお菓子の話。
街での噂話など。

日常の小さな出来事を、
私は、目覚めぬ貴方を想い、
貴方への恋慕と共に、
些細な想い出も、
日記帳に書き連ねていくのです。

貴方が、目覚めたら。
私が記し続けた日記帳を、
読んで欲しいです。
私と貴方が、
言葉を交わせなかった期間に、
ぽっかり空いてしまった、
二人の想い出と時間を、
日記で埋めたいのです。

そんな、思いを詰め込んだ、
私の日記帳が、
もう何冊も何冊も積み重なり、
貴方の目覚めを待っています。

8/25/2024, 6:40:44 PM

向かい合わせ



憧れの君と俺は、
何でも正反対。

仕事が出来て、
上司の信頼も厚く、
部下から頼られてて、

間違った事には、
きちんと言い返せる。
なのに、とっても優しくて。

そんな君と違って、
俺は、人の影に隠れて、
言われた仕事を、
黙々と熟すだけ。

ある日。
君とお茶をすることになった。
向かい合わせに座る、
君と俺。
真逆の二人。

ほら。
俺は右手でカップを持ったけど、
君は左手でカップを持ったんだ。
ああ、こんな事まで、
君と俺は真逆なんだ…って。

だけど。
向かい合わせだと。
まるで君と同じ動きを、
しているみたいに見えて。
少しだけ、
君に近付けた気がしたんだ。

8/24/2024, 7:09:52 PM

やるせない気持ち



今日もお前は、
俺の目を避ける様に、
部屋に籠もった。

理由は、分かっている。
また、お前は、
自分を自分で罰しているんだろう。

何かあると、自傷行為に走る。
自分を切りつけ、殴りつける。
それはお前の、
ガキの頃からの癖。

それを、見て見ぬ振りをする俺は、
遣る瀬無い気持ちに、
一人、苛まれる。

何故、お前は、
俺を頼ってくれない?
何故、お前は、
全部一人で抱え込むんだ?

そんなに俺は、
頼りないのか、と。
遣る瀬無い気持ちを抱えて、
俺は、溜息を吐くんだ。

8/23/2024, 7:29:08 PM

海へ



海辺の夏の夜。
貴方と二人で、浜辺を歩きます。

私達の頭上には、
蒼い月が空に輝いていて、
星達が煌めきを添えています。

夜の海を見ていると、
全てを海に投げ出して、
そのまま波間に、
揺蕩ってしまいたくなります。

この想いに素直に従えば、
私は楽になれるでしょう。
ですが。
繋いだ貴方の手の温もりが、
私をこの世に繋ぎ止めていました。

ふと、貴方が。
この世から消える事を、
望んでいると、分かってしまいました。

貴方が一緒に居てくれるなら、
私は何処へ行っても幸せです。
そう言って、私は微笑んで見せました。

貴方と繋いでいたその手に、
力が籠もったのが解りました。
私も、強く握り返しました。
何があっても貴方と離れないように。

『さあ。海へ…』
ふと、暗い波間が、
私達を呼んでいる気がしました。
大丈夫です。
貴方さえ、私の隣に居てくれるなら、
私は幸せです、から。

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