霜月 朔(創作)

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雨に佇む


雨が降り頻る朝。
独り森を歩く。

朝靄のような霧雨は、
次第にその雨粒を、
大きくしていった。

雨粒は森の木々の、
豊かな緑の葉を叩く。
その静かな音が、
疲れ切った私の心を、
僅かに癒やしてくれる。
そんな気がした。

私は雨が降り頻る森で、
そのまま、独り佇む。
雨を避ける事なく。
降り頻る雨が、
私の罪を洗い流してくれないか。
そう想いながら。

雨に佇む。
雨は私も木々も地面も、
別け隔てなく濡らしていく。
そう。私は、孤独だ。

私は雨降る中、
森を彷徨った。

そして。
雨で烟る森の出口に、
私を待つかの様に、雨に佇む
懐かしい人影を見た。

8/27/2024, 6:13:51 PM