霜月 朔(創作)

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海へ



海辺の夏の夜。
貴方と二人で、浜辺を歩きます。

私達の頭上には、
蒼い月が空に輝いていて、
星達が煌めきを添えています。

夜の海を見ていると、
全てを海に投げ出して、
そのまま波間に、
揺蕩ってしまいたくなります。

この想いに素直に従えば、
私は楽になれるでしょう。
ですが。
繋いだ貴方の手の温もりが、
私をこの世に繋ぎ止めていました。

ふと、貴方が。
この世から消える事を、
望んでいると、分かってしまいました。

貴方が一緒に居てくれるなら、
私は何処へ行っても幸せです。
そう言って、私は微笑んで見せました。

貴方と繋いでいたその手に、
力が籠もったのが解りました。
私も、強く握り返しました。
何があっても貴方と離れないように。

『さあ。海へ…』
ふと、暗い波間が、
私達を呼んでいる気がしました。
大丈夫です。
貴方さえ、私の隣に居てくれるなら、
私は幸せです、から。

8/23/2024, 7:29:08 PM