霜月 朔(創作)

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3/23/2024, 12:48:26 PM

特別な存在


私にとって貴方はどんな存在か、と問われれば。
友人である…と答えるのが最適でしょうか。
知り合いという程、縁が遠くはなく。
親友という程、親しいとは言えない気がします。

ですが、私は…。
沢山の友人に囲まれ、その中心で笑う貴方を、
想いを隠し、素知らぬ顔をして、
密かに、憧れの眼差しで見ているのです。

そう。
私にとって、貴方は特別な存在。
ですが。
それを認める訳にはいかないのです。
他人に対しても。
貴方に対しても。
…自分に対しても。

だって。
悔し過ぎるじゃないですか。
貴方にとって私は、
数多く居る友人の1人に過ぎないのですから。

3/22/2024, 2:31:13 PM

バカみたい

君は皆の憧れの存在だった。
真面目で誠実、そして強くて優しい。
仕事が出来て、リーダーシップもある。
後輩から頼られ、先輩から一目置かれて。

そんな君に、俺は恋にも似た憧れを抱いていた。
君と友達になりたい。出来れば親友になりたい。
何時からか、そう願う様になっていた。

今は未だ、君にとって俺は、
何人も居る同僚の1人に過ぎないだろう。
でもいつか。
君の隣で、共に泣き、苦しみを乗り越え、
一緒に笑い合いたい。

不意に意識が、空想から現実に引き戻された。
溜息一つ。俺は、冷静に現実を直視する。
鏡に写る現実の俺は、何処にでもいる冴えない男。
バカみたい。
こんな俺が、君の友達なんかになれる訳がないのに。

3/21/2024, 12:04:16 PM

二人ぼっち

窓も無いこの暗い部屋には、私と貴方の二人だけ。
私は貴方の寝顔を見つめている。
ずっとずっと。

貴方は、私の夢を見てくれているのでしょうか?
幼い日の暖かな思い出の中に居るのでしょうか?
それとも…。
眠りに就く貴方に、私はそっと語り掛けた。
答えは返っては来ない。
然程広くない部屋の中に、私の声が虚しく響くだけ。
それでも、私は貴方に語り掛けた。 

誰も訪れることのない、この牢獄にも似た場所で。
貴方は眠り続けている。
ずっとずっと。

貴方が居れば、他は何も要らない。
この部屋の中が私の全て。
貴方と私…二人ぼっち。
私と貴方が陽の光の下で過ごしていたのは、
もう余りに遠い日の事。
太陽の眩しさも、星の煌めきも、月の満ち欠けも。
風の涼しさも、土の温もりも、炎の激しさも。
最早、遠い日の記憶になっていた。

私は貴方の隣で、貴方の目覚めを待っている。
何時訪れるとも知れないその時を待っている。
ずっとずっと。

3/20/2024, 11:56:44 AM

夢が醒める前に

夢が醒める前に貴方と話をしたかった。
夢が醒める前に貴方と手を繋ぎたかった。
夢が醒める前に貴方に触れたかった。
夢が醒める前に貴方に愛されたかった。

夢から醒めると。
私はたった独り。
残酷な現実が待っている。
貴方が私の隣にいたのは、もう戻る事の出来ない遠い過去の事。
パステルカラーの思い出とは真逆の、モノトーンな日常に忙殺される。

いっそ、永遠に夢から醒めなければ良かったのに。