霜月 朔(創作)

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二人ぼっち

窓も無いこの暗い部屋には、私と貴方の二人だけ。
私は貴方の寝顔を見つめている。
ずっとずっと。

貴方は、私の夢を見てくれているのでしょうか?
幼い日の暖かな思い出の中に居るのでしょうか?
それとも…。
眠りに就く貴方に、私はそっと語り掛けた。
答えは返っては来ない。
然程広くない部屋の中に、私の声が虚しく響くだけ。
それでも、私は貴方に語り掛けた。 

誰も訪れることのない、この牢獄にも似た場所で。
貴方は眠り続けている。
ずっとずっと。

貴方が居れば、他は何も要らない。
この部屋の中が私の全て。
貴方と私…二人ぼっち。
私と貴方が陽の光の下で過ごしていたのは、
もう余りに遠い日の事。
太陽の眩しさも、星の煌めきも、月の満ち欠けも。
風の涼しさも、土の温もりも、炎の激しさも。
最早、遠い日の記憶になっていた。

私は貴方の隣で、貴方の目覚めを待っている。
何時訪れるとも知れないその時を待っている。
ずっとずっと。

3/21/2024, 12:04:16 PM