お題:物憂げな空
『その日は雨だった』
透華が、事故にあった日は雨だったらしい。
俺は物憂げな空で気分が沈みながら登校して、勉強して、帰ってすぐ寝たそんな日。
そんな日から透華は忘れたらしい。
そんな噂を耳にした。
お題:小さな命
『小さい妹』
私に、親が迎えに来るらしい。
あの後は全ての授業は秋太くんが付き添った。
皆行ってしまってオロオロしていたら気が付いて案内してくれたからとても助かった。
授業が終わって放課後になったらすぐに帰るかと思っていたんだれけども、親が仕事の関係上すぐに迎えにこれないとの事で部活もしていくことになった。
見学だったけれども、皆が弓を引いているのを見るのは楽しかった。
特に、秋太くんがいちばん上手くて、かっこよかった。
部活が終わって秋太くんは帰る準備をしているが、私ははもう少し待つことになったみたい。
私は1人で待とうと思っていたけれども、クラスメイトに一緒に帰ろうと言われても、断ってそばに居てくれるに秋太くんは優しい。
断って騒いだ皆を一旦〆ていたけれどもね。
「ありがとう。」
だから、残ってくれた事にお礼をしたんだけど、不思議そうな顔をされた。
「別に、大丈夫だ。」
分かってくれたのか、大丈夫と返事をされた。良かった。
「透華ちゃん。暇だからさ、課題して待ってようぜ。」
この申し出は解き方が分からなかったら私からしたらとてもありがたい。
途中からだから全然分かんなくて、家に帰ったら教科書とにらめっこする予定だったんだ。
「そうだね。私、これあんまり分からなくて。」
あれ、微妙な顔してる。
秋太くんも分からなかったのかな、それともここは苦手な範囲なのかな。
あ、後ろにある月が綺麗だな。
「じゃぁ、教えるよ。どこからつまづいてるの。」
あぁ、課題教えてくれるからそっち見ないといけないと思っていると秋太くんは横を見た。
「月、見てるんだね。」
秋太くんがこちらを見て言うので私もそちらを見て言う。
「うん。多分、好きなんだと思うよ。」
綺麗だから、笑顔で答えた。
そうすると秋太くんも微笑んでいて。
「月が綺麗ですね、透華。」
何故か敬語で言われたし、呼び捨てにもされたけど、特に嫌だとは感じなかった。
「うん。綺麗だね、秋太くん。」
まだ、呼び捨てにする勇気はないからくん付けなの許して欲しいな。
「あ、親が下に来てるらしい。」
課題してないけれど、降りよう。
一人でするのか、大変だな。
「そうなんだ、課題できなかったね。」
秋太くんにそう言われる。
「そうだね、一人で頑張る。」
そんな感じで喋っているとすぐに親のところまで着いた。
「透華と、秋太くん、お久しぶりね。」
母親は秋太くんの事を知っているらしい。
友達だったみたいだから、その影響かな。
「はい、お久しぶりです。有華ちゃんもお久しぶり。」
秋太くんは母親と抱っこされている妹にそう言った。
妹は今年で2歳になるまだ小さい子供だ。
小さい妹の記憶もないが、この数日間時折会っては可愛いなと思っている。
「では、俺はここで。」
ここで別れるらしい。
今日1日、ずっと一緒にいてくれてすごく助かったから、お礼をもう1回言おう。
「秋太くん、ありがとう。」
秋太くんは帰りはじめてたけども、こっちを向いて笑顔を浮かべて言った。
「どういたしまして、透華ちゃん。」
私も母親と妹と帰ろうと思い、抱き上げる為に妹に手を伸ばした。
お題:Loveyou
『月が綺麗ですね』
透華は、親が迎えに来るらしい。
あの後は全ての授業は自分が付き添った。
俺以外の奴らでもいいかと思っていたんだが、皆行ってしまってオロオロしている透華を見ていたらほっとくのはダメだと思ったからだ。
授業が終わって放課後になったらすぐに帰るかと思っていたが、親が仕事の関係上すぐに迎えにこれないとの事で部活もしていくことになった。
まぁ、部員の少ない弓道部だから見学になってしまうだろうが。
楽しんでくれたら嬉しいな。
部活が終わって帰る準備をしているが、透華はもう少し待つことになりそうだ。
先生に透華を1人にしないでと言われたので、クラスメイトに一緒に帰ろうと言われるが、断ってそばに居る事にした。
断って騒ぎやがったあいつらは一旦〆といたがいいよな。
「ありがとう。」
透華にお礼を言われた。
タイミング的に、残った事だよな。
「別に、大丈夫だ。」
さっき、親にすぐ帰らないってLINEしといたし、多分大丈夫だよな、門限ないし。
「透華ちゃん。暇だからさ、課題して待ってようぜ。」
解き方分からなかったら俺が教えればいいし、覚えているんだったら教えて欲しいからな。
「そうだね。私、これあんまり分からなくて。」
なるほど、なるほど。
俺も苦手だけど教えることになりそうだ。
透華のためにも頑張ってみようか。
「じゃぁ、教えるよ。どこからつまづいてるの。」
そう言って顔を上げたら、透華が月を見ていることに気がついた。
「月、見てるんだね。」
そう俺が言うと透華がこちらを見て言った。
「うん。多分、好きなんだと思うよ。」
その笑顔を見たら言いたくなった。
「月が綺麗ですね、透華。」
遠回しな『I LoveYou』を。
「うん。綺麗だね、秋太くん。」
まだ、気が付かなくていいよ。
敬語になった訳も、名前を呼び捨てにした訳も、全部、まだね。
お題:太陽のような
『太陽のような笑顔』
私は、交通事故にあったらしい。
らしいと他人事なのは事故の後遺症で今までの記憶を全て無くしてしまったからだ。
母親らしい人とあっても、父親らしい人とあっても記憶は思い出せずに怪我がこの前、完治してしまった。
明日の午後から学校に登校することになるらしい。
友達と会うことで記憶を思い出すかもしれないとの事で、とりあえず様子見として午後だけと言われた。
なんにも覚えてないのに学校に登校するのは不安があるが、周りがすすめるので頑張ってみよう。
先生に呼ばれ、教室に入ると挨拶をする。
「皆さん、初めまして。友利透華です。」
挨拶をしてから、間違えたかもしれないと思った。
私にとっては初めましてでも、クラスメイトからすれば久しぶりになると思ったからだ。
「皆さん、友利さんは交通事故の後遺症で、記憶を無くしました。」
先生が説明をしている間にクラスメイトを見る。
記憶を無くしたから当たり前だが、知っている人はいない。
でも、驚いているような顔を浮かべている男子が少し気になって仕方がない。
私と関係はなさそうなんだけれども。
「友利さんは記憶が無いですが、学校で過ごす事により記憶を思い出すかもしれないので少しだけ登校してもらいました。」
病院でされた説明を先生がクラスメイトに向けて言っている。
「さて友利さん、あそこの席が貴方がいた席です。」
先生に席を告げられた。
私は言われた席に向かって歩む、男子の席の隣へ。
座るとそちらを向いた。
「えっと、初めましてじゃなくて、お久しぶりです。お名前教えてください。」
初めまして言ってから間違えたと思い、訂正をしてお久しぶりと言い換えた。
顔を近くで見ても思い出せないので名前を聞く。
「初めましてでいいよ、友利さん。俺の名前は川島秋太、友達だよ。」
笑顔で答えてくれたが、なにか引っかかる。
「友達ですか。」
不思議に思った。
私が男子と仲良くなれるのだろうかという疑問もあるが、友達では無くてもっと別の関係だと思ったんだ。
何故、そう思ったのかも分かりはしないが、彼が友達と言うならば、そうなのだろう。
「そう、友達。友利さんが良ければまた一から、違うな。また0からの関係を、友達になろうとしてくれる?」
彼は私に合わせて0からと言ってくれた。
それに、私も友達になりたいと何故か思っているので了承する。
「はい、分かりました。」
彼がちょっと気にしているようだから敬語を外そう。
「改めて私は友利透華。よろしくね、秋太くん。」
そう言うと、彼は太陽のような笑顔で返事をしてくれた。
「うん。よろしく、透華ちゃん!」
私も自然と笑顔になった気がする。
お題:0からの
『また0からの関係』
友達が交通事故にあったらしい。
ココ最近来なくて心配だったけれど、先生から何も教えて貰えず、LINEの既読も付かなくてなんにも知らなかった。怪我は全て治り、今日の午後から学校に登校してくるらしい。
学校に来れるならば、特に大きな事後遺症などもなさそうで良かったのかもしれない。
LINEの既読が付かなかったのは、事故で壊れてしまったとかだろうか。
先生が教えてくれなかったのは何故だろう、先生は知っていたはずだろうに。
友達が登校してくるのを楽しみに、午前中の授業を頑張ろう。
「皆さん、初めまして。友利透華です。」
初めましてと彼女は言った。
言い間違えたんだろうか。
「皆さん、友利さんは交通事故の後遺症で、記憶を無くしました。」
先生の言葉にショックを受ける。
大きな後遺症も無さそうだと思っていた、午前の自分を殴りたい。
「友利さんは記憶が無いですが、学校で過ごす事により記憶を思い出すかもしれないので少しだけ登校してもらいました。」
今までの楽しかった事、全部忘れてるんだよな。
思い出を話す事、彼女と出来ないのか。
「さて友利さん、あそこの席が貴方がいた席です。」
先生が席を告げる。
彼女は言われた席に向かって歩む、自分の席の隣へ。
座るとこっちを向いた。
「えっと、初めましてじゃなくて、お久しぶりです。お名前教えてください。」
初めましてと言われ、名前を聞かれて結構メンタルにダメージが入る。
とは言っても彼女は悪く無いんだが。
「初めましてでいいよ、友利さん。俺の名前は川島秋太、友達だよ。」
ショックを受けている事がバレないように笑顔を浮かべ、そう答える。
「友達ですか。」
不思議そうだ。
そりゃそうだろう、比較的静かで優等生の友利さんと騒いでクラスの陽キャな自分はとある出来事が無ければきっと友達になんかなれなかっただろうし。
「そう、友達。友利さんが良ければまた一から、違うな。また0からの関係を、友達になろうとしてくれる?」
バレンタインの返事をしたかったんだけど、それも記憶を無くているだろうし、友達からでゆっくりとしていこう。
「はい、分かりました。」
まずは、敬語を外させる所からだな。