お題:太陽のような
『太陽のような笑顔』
私は、交通事故にあったらしい。
らしいと他人事なのは事故の後遺症で今までの記憶を全て無くしてしまったからだ。
母親らしい人とあっても、父親らしい人とあっても記憶は思い出せずに怪我がこの前、完治してしまった。
明日の午後から学校に登校することになるらしい。
友達と会うことで記憶を思い出すかもしれないとの事で、とりあえず様子見として午後だけと言われた。
なんにも覚えてないのに学校に登校するのは不安があるが、周りがすすめるので頑張ってみよう。
先生に呼ばれ、教室に入ると挨拶をする。
「皆さん、初めまして。友利透華です。」
挨拶をしてから、間違えたかもしれないと思った。
私にとっては初めましてでも、クラスメイトからすれば久しぶりになると思ったからだ。
「皆さん、友利さんは交通事故の後遺症で、記憶を無くしました。」
先生が説明をしている間にクラスメイトを見る。
記憶を無くしたから当たり前だが、知っている人はいない。
でも、驚いているような顔を浮かべている男子が少し気になって仕方がない。
私と関係はなさそうなんだけれども。
「友利さんは記憶が無いですが、学校で過ごす事により記憶を思い出すかもしれないので少しだけ登校してもらいました。」
病院でされた説明を先生がクラスメイトに向けて言っている。
「さて友利さん、あそこの席が貴方がいた席です。」
先生に席を告げられた。
私は言われた席に向かって歩む、男子の席の隣へ。
座るとそちらを向いた。
「えっと、初めましてじゃなくて、お久しぶりです。お名前教えてください。」
初めまして言ってから間違えたと思い、訂正をしてお久しぶりと言い換えた。
顔を近くで見ても思い出せないので名前を聞く。
「初めましてでいいよ、友利さん。俺の名前は川島秋太、友達だよ。」
笑顔で答えてくれたが、なにか引っかかる。
「友達ですか。」
不思議に思った。
私が男子と仲良くなれるのだろうかという疑問もあるが、友達では無くてもっと別の関係だと思ったんだ。
何故、そう思ったのかも分かりはしないが、彼が友達と言うならば、そうなのだろう。
「そう、友達。友利さんが良ければまた一から、違うな。また0からの関係を、友達になろうとしてくれる?」
彼は私に合わせて0からと言ってくれた。
それに、私も友達になりたいと何故か思っているので了承する。
「はい、分かりました。」
彼がちょっと気にしているようだから敬語を外そう。
「改めて私は友利透華。よろしくね、秋太くん。」
そう言うと、彼は太陽のような笑顔で返事をしてくれた。
「うん。よろしく、透華ちゃん!」
私も自然と笑顔になった気がする。
2/22/2024, 10:36:26 AM