泡になりたい
……って事は消えてなくなりたい
ってことか
……あんまり良い表現じゃないなぁ
どうせなら……
大好きな人が飲むビールの
一番最初に口をつける泡位にはなりたい
もんだ
どうせ消えて無くなるんなら、大好きな
人の体に吸い込まれて消えてなくなりたい
しかし……
一昔前ならつゆ知らず、今は異性と言えば
ヨレヨレになって長年連れ添った旦那くらいしかいない訳で……
今更、間違っても最初に口をつける飲み口の泡になどなりたくない
唇が近づいてくると同時に「いゃ〜!」
ってなリアクションになる事間違いなしw
恋愛なんてもんの魔法はせいぜい2〜3年
だとすると、魔法が解けた後からすでに
どんだけ過ぎたんだよ…
消えて無くなれば楽だろうにと、繰り返し
繰り返し、自問自答しながら月日だけは
流れていく
消えなくて良かったと、最後に笑って人生を振り返る日はいつになるのかはわからないけれど…
何だか、「案外楽しかった」って
漠然とそんな言葉が浮かぶ私は
やはり「泡になりたい」
そんな、繊細で儚い一生を生きるタイプ
ではないと自己分析をし納得してしまう
ただいま、夏
日本語は難しい…
繰り返される四季が夏になり
「おかえり、夏!」
「ただいま!」てな感じのやりとり
……とも、考えられる
そして、当たり前だが只今、夏…
……尋常じゃない暑さ……
今、この時、この瞬間をさす夏なのか
人それぞれに捉え方は変わるけれど
それは、年齢によっても全く変わる
ような気がする…
水着を持って一目散にプールに行った
子供時代は、まさしく「おかえり、夏!」
この一択だった
随分と年齢を重ねた今は、毎日が暑さとの
戦いだ…特に今の時代などは…
「只今、夏」もう、1日1日と酷暑が
過ぎるのを待ちわびるばかり、何も
楽しくない…
あえて、1つ楽しみを伝えるとしたら
無添加のアイスクリームを自作して
自己満足に浸るひととき位のもんだ
しかし、しんどい…
寝苦しい真夏の夜中に、パッチリと
目が覚めてしまった私は、夜中にこんな
事をしている
がっ……これはちょっと楽しい
………今、3時だよ
何やってんだろ私……今日も忙しいのに。
人生は、すべてタイミングだ
チャンスが来た時に飛べるか否か…
けれど、大概は躊躇している間に
ふっと、過ぎ去って行く…
人生の伴侶とやらもこんな感じかも
しれない…
「この人だ!間違いない!今だ!」と
張り切って決定打を打つもんだが…
これが、おおよそ数年後には
「………えっ?何か違う?」なんて
疑問を持ち出したりするから困る
その頃には、張り切って作り出した
分身が、すでに2〜3人位増えていて
その後は、情やら惰性やらよくわからない
時間の中で人生を生きて行く
もう色々考えるのも疲れた頃には
「この人でよかったんだよね、お互いに
我慢しながらもやってきたんだし…」
タイミングが合っていたかどうかは
いざ知らず、長い時間かけて絆はしっかり
出来上がっているってわけだ…
それだけでも魂磨きには十分かもしれない
人生も終演の御長寿さんが名言を言って
いたなぁ…
「結婚なんてくじ引きと一緒、めったに
当たりなんて入ってない、ほとんどが
ハズレなんじゃよ」……(笑)深い。
田舎暮らしだった私が
真夏にする事と言えば川遊び…
兄3人の末っ子の私は、
いつも後ろから兄たちの背中を追った
家から少し離れた川に毎日のように
通って、最初は浅瀬…
けれど、兄たちについて移動して行くと
最終は滝つぼ近くのギリギリに着く
年の離れた3人は、次から次と滝つぼに
飛び込んでは石垣を上がり、また飛び込んで…を繰り返し何時間も遊んでいた
わずか3歳位の私はさすがに滝つぼに
飛び込む勇気はなかった
手前の浅瀬で石を動かし、捕れもしない
川魚を何時間も見つけては見失い…
あっと言う間に時間は過ぎて
今日、数十年ぶりに川遊びに行った
もうすでに孫をみる年になった
しかし、果敢にも水着を来て川に入って
流れに身を任せ流されてみた…
フラッシュバックとはこの事か…
川遊びを体が覚えていた
「何だか板についてるよね…」と娘
魚を眺め、カエルを手に乗せた私は
わずか3歳の私にかえっていた
不思議な感覚を感じながら、大自然の
中でひとときを過ごす時間は、昔も今も
私の人生のオアシスだったと改めて
振り返る貴重な1日であった…
意地っ張りな私は人前では
絶対に泣かない…
長い人生…
何度かトイレに隠れて泣いた
私の毎週のルーティンは
施設に居る93歳の母親に会いに行く事だ
大腿骨を折ってから施設に入り早、6年目
段々…段々と薄皮をはぐように弱くなる
今は、ギリギリ何とか自分の事が出来ているが、食欲もなくバランス食のドリンクを
飲むのがやっと…
「なかなか死ななくてゴメンね」
滑舌も悪くなった母親が、小さなメモに
手を震わせながら書く…
「娘に甘えないでどうするのよ」と…
ちょっとおどけて返す私だが、何もして
あげられない歯がゆさに気分が滅入る
「また、来週ね!」
明るく笑って握手をして1人エレベーターに乗り込むとふと我に返り、そう遠くない
別れを思い涙が溢れてくる…
5…4…3…2…そろそろ1階だ
涙の跡を気付かれないように
意地っ張りで可愛くない私は…
「よし!行こう!」
誰しもが通る道を1分1秒 噛み締めながら
頑張って生きながらえている母を想い
精一杯今日も自分の人生を生きよう
それが一番の親孝行だと思うから…