猫とモカチーノ

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6/8/2024, 5:46:27 AM

「隕石の衝突まで、残り1時間となりました。みなさん、悔いのないようお過ごしください」

今日は地球最後の日。

超大型の隕石が地球に衝突するというニュースが発表されてから、ありとあらゆる手が尽くされたが、結局なす術はなく、みんな最期の時間を楽しむことに尽力し出していた。

「一緒にいられるのも、あとちょっとだね」
「……そうだね」

私も、他の多くの人と同じように大切な人と最期の時間を過ごしていた。

出会った頃の話。懐かしい思い出の話。
……もう叶わないけど、これから二人でしたかったことの話。

彼が淹れたコーヒーと、私が作ったサンドイッチを食べながら、そんな他愛のない話をしていた。

「本当に全部終わっちゃうんだね」

楽しかったことも辛かったことも、全部終わってしまう。
悔いも後悔もたくさんあるけれど、地球が終わるこの瞬間、彼と一緒にいられることが嬉しい。

「楽しかったなぁ。あなたと出会えて、こんな時にも一緒にいられて本当によかった」
「僕も、君と世界の終わりを迎えられてよかった」

聞いたこともないような大きな音がして、もう終わりなんだなと改めて実感する。

「生まれ変わっても一緒にいようね」

そんな最後の約束をして、最後に二人で笑って。

世界の終わりに君といられてよかった。


お題『世界の終わりに君と』

6/6/2024, 1:15:44 PM

「やばいやばい!遅刻しちゃう!!」

今日は最悪な日だ。

目覚ましをかけ忘れて寝坊するし。
トースターの調子が悪くて朝ごはんが食べれなかったし。
梅雨の湿気のせいで、いつもの巻き髪もできなかった。

散々な出来事に嫌になりつつも、なんとかダッシュで学校に向かっている。

「セーフ!」

始業のチャイムがなり終わる0.1秒前。
なんとか教室にたどり着く。

「なんだ、遅刻かー?」

と先生に茶化され、クラスメイトにも笑われ、本当に最悪だ。

「髪、括ってるの珍しいね」

ホームルームが終わった後、隣の席の合田くんがそう話しかけてきた。
実は密かに片想い中の男の子。

「あー、今日湿気やばくってさ、跳ねちゃうから結んだんだ。……変かな?」

「いや、すごく似合ってるよ」

「ほ、本当!?よかった〜!」

そんな一言で、朝の憂鬱すら吹っ飛んで、ハッピーになってしまう。

最悪な1日が、最高な1日になった瞬間だった。


お題『最悪』

6/5/2024, 11:02:33 PM

私には、誰にも言えない秘密がある。

リボンやフリルの付いた服が好き。
長くてふわふわな髪が好き。
キラキラの小物が好き。
お花みたいな香りが好き。
可愛いスイーツが好き。

制服のズボンが嫌い。
短い髪が嫌だ。
キラキラした小物が欲しい。
お花みたいな香りが似合うようになりたい。
放課後はサイゼじゃなくてカフェに行きたい。

「”男の子らしさ”に囚われず、好きなものを好きでいたい」
家族にも友達にも言えない秘密。

この秘密を打ち明ける勇気があったなら、毎日がもっと楽しくなるのかな、


お題『誰にも言えない秘密』

6/4/2024, 11:36:39 AM

「ここが、新しい僕の家……」

玄関を入ってすぐにある小さなキッチン。扉を開けると人一人が生活するにはちょっとだけ狭いリビング。
お風呂もトイレもとても狭い。

けれど、僕はこの部屋がとても気に入った。

「ここでなら、自由に生きて良いんだ……!」

実家は代々医者の家系で、そこそこ裕福ではあったけれど、その分、他人に決められた人生を歩んでいく生活だった。

それが耐えられなくて、実家から遠く離れた有名大学を選んだ。

新しい部屋は、実家と比べると住み心地はよくないかもしれない。
だけど、そんなの全然気にならないくらい胸は躍っていた。

料理、音楽、編み物、お菓子作り、朝までゲーム!!

ずっとやってみたかったことが、この部屋でなら叶えられる。

今の僕には、この狭い部屋がどんなお城よりも素晴らしく思えた。


お題『狭い部屋』

6/4/2024, 9:30:19 AM

好きな人が死んだ。
性格には“殺された”というのが正しいのかもしれない。

私の好きな人は、遠い世界にいる人で、話すことも触れることもできない人。

カッコつけで自信家に見えて、それでも裏ではたくさん悩んで、まっすぐに生きている。

そんな彼が大好きだった。
側から見たら、現実見ろよって言われるかもしれないけど。
それでも、ずっとずっと大好きだった。

ある日、告げられた殺害予告。
「サービス終了のお知らせ」

頭を強く殴られたような、そんな衝撃が走った。

私の大好きな彼に、一生会えなくなってしまう。
片想いできるだけでも幸せだったのに、それすらもできなくなってしまう。

それかは時間が経つのが恐ろしく早くて、無情にもその日は来てしまった。

一方的に終わらせられた恋。

私は、これから何に縋って生きていけば良いのだろう。

……こんな気持ちになるなら、好きになんてならなければよかったのに。


お題『失恋』

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