猫とモカチーノ

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「ここが、新しい僕の家……」

玄関を入ってすぐにある小さなキッチン。扉を開けると人一人が生活するにはちょっとだけ狭いリビング。
お風呂もトイレもとても狭い。

けれど、僕はこの部屋がとても気に入った。

「ここでなら、自由に生きて良いんだ……!」

実家は代々医者の家系で、そこそこ裕福ではあったけれど、その分、他人に決められた人生を歩んでいく生活だった。

それが耐えられなくて、実家から遠く離れた有名大学を選んだ。

新しい部屋は、実家と比べると住み心地はよくないかもしれない。
だけど、そんなの全然気にならないくらい胸は躍っていた。

料理、音楽、編み物、お菓子作り、朝までゲーム!!

ずっとやってみたかったことが、この部屋でなら叶えられる。

今の僕には、この狭い部屋がどんなお城よりも素晴らしく思えた。


お題『狭い部屋』

6/4/2024, 11:36:39 AM