ミキミヤ

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6/3/2025, 1:18:24 AM

私は、完全犯罪を成し遂げた。
土砂降りの雨の中、傘の雑踏に紛れ歩く。
何か月も前から準備してきた計画は、面白いほどにうまくいった。
思わず口元がにやけてしょうがない。それを他から見えないように、傘の中に隠す。
傘の中に、狂気を秘めて、道を歩く。傘の中の秘密は他の誰にもわからないまま。
この雨が止んで、傘を畳む時は、“普通”の仮面を完璧に被ってみせよう。
だから今だけ。誰にも見えない傘の中、私は湧き上がる狂喜をあらわにした。

6/2/2025, 9:06:50 AM

雨上がり、雲間から光が差し込み、濡れたアスファルトを煌めかせている。
俺は歩道橋の上で立ち止まり、それを見ていた。
俺の右手にある畳まれた傘からは、まだ雫が流れ落ちている。

激しい雨だった。厚い雨雲が世界を閉ざし、薄暗闇に染めていた。もう、ずっとやまないんじゃないかと思うほど、長く長く降り続いていた。それが、嘘みたいに光が差している。『やまない雨はない』。使い古された言葉だけれど、まさにそうだと俺は実感していた。
失敗続きで、落ち込んでばかりで、もうずーっと落ちていくしかないと思っていた俺の心は、雨上がりの煌めく景色に、大きく揺さぶられていた。

もし、暗く雨が降るばかりだと思っていた俺の人生にも、こんな煌めく瞬間があるとしたら。
過去の失敗を反省するのは大事だ。ただ、そればかりにとらわれては、先にある煌めきにきっと気づけない。

自動車が歩道橋の下を通り過ぎていく。跳ね上げられた水たまりの水が、太陽光を浴びてキラキラと瞬いた。

俺はその場で大きく深呼吸して、再び歩き出した。
きっとこの先に煌めく瞬間はきっとある。それがどれほどやってきてくれるのかはわからないけれど、ただその瞬間があると信じられるだけで、今の俺には充分だった。
歩き出した俺を照らす光は、眩く、あたたかかった。

6/1/2025, 5:20:59 AM

私とあいつは幼馴染だ。生まれてからずっとあいつと私は競い合ってきた。学校の成績も、薪割りの上手さも、剣の上手さも、ずっと切磋琢磨して高め合ってきた。
そんな私達ふたりともに、勇者の適性があることがわかった。勇者とは、選ばれたパーティを率いて、魔物たちを操り人間の領域を支配しようと企む魔王を倒す人。特別な適性がないとできないと言われている。私達2人には、その特別な適性があったらしい。
数々の競争や勝負を繰り広げてきた私達の次の競技は、魔王打倒タイムアタックに決まった。どちらのパーティがはやく魔王を打倒できるかの勝負。
私達は「絶対負けねえ!!!」と言い合って、冒険の旅へと出た。

神聖で崇高な目的のある勇者の旅に勝ち負けなんて、と言う人達はたくさんいた。でも、そんなことは私達には関係ない。これは“いつも”の延長で、魔王を倒すことは相手に勝つための手段でしかないのだ。

旅の道中で集めた仲間と、今日も魔王のいる北へ向かって進む。仲間たちは、私達勇者の勝負に呆れつつも付き合ってくれているいい奴らだ。

旅はいよいよ、魔物の出没が増える危険地帯へと突入した。
魔物をバッサバッサと斬り捨てながら、あいつは今頃どこで何をやってるだろうと考えていた。もう私より先に進んでいるだろうか。同じように魔物を斬り捨てながら前に進んでいるんだろうか。
ああ、あいつに勝ちたい!そう思うと、力が湧いてくる。
あいつに勝って、絶対先に世界を平和にしてやる!
決意とともに、私はまた剣を振るった。

5/31/2025, 9:26:31 AM

まだ続く物語 後日書きます

5/30/2025, 9:06:08 AM

渡り鳥 後日書きます

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