うに

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8/19/2024, 2:17:15 PM

和菓子というのは元々目で楽しめるように美しいものである。
しかし昨今の新作和菓子の美しさときたら、言葉では言い表せないほどだ。
特に羊羹や寒天を使った棹物、あるいは琥珀糖などに、意匠を凝らしたものが多いと感じる。
その中でも特に私の好きなものは、空を切り取ったような寒天菓子だ。
夏の透けるような青空や、夜空に浮かぶ天の川、あるいは黄昏時の特徴的な朱などを、あの小さな菓子の中に再現している。一口含めば、天にも昇るような気持ちになる。
目で愛で、舌で味わう。
さて、今宵は、どの空模様を楽しむとしようか?


(お題:空模様)

8/19/2024, 3:34:09 AM

砕けた鏡の破片ひとつひとつに、小さな私が映っている。
そのうちの一つくらい、他所を向いたり、違う表情をしていたりするのではないかとじっくり見つめてみたが、鏡の中の私はどれもこれも面白みのない顔で見返してくるだけだ。
そういえば、鏡は悪いものを跳ね返してくれると聞いたことがある。
確か母方のばあちゃんが言っていたのだったか。
妊婦が葬式や法事に出席するときには、胎児を連れて行かれないように腹に鏡を潜ませるのだと教えてくれたのもこのばあちゃんだった気がする。
しかし考えてみれば、亡くなった親類縁者を、胎児を連れて行く悪霊扱いしているのだから酷い話だ。
神棚に鏡が祀られていたのも、同じ理由なのか。
疎い私には良くわからない。
しかし、こうして断面を晒している鏡は、魔除けのアイテムと言うよりは、寧ろ鏡の中になにかを閉じ込めてしまう、封印のアイテムのように見える。
いいものも悪いものも、触れたもの皆封じ込めてしまうような。
このまま見つめ合っていると、鏡の中の私と入れ替わってしまいそうだ。
とりあえずこのままにしておくわけにはいかないので、ちりとりと箒を持ち出して破片を片付ける。ガシャガシャと音を立てて、破片がちりとりに集められていく。
雑多に反射する光は相変わらず私を映し続けている。ビニール袋にまとめ、新聞紙で包み、さらにビニール袋に入れて、ワレモノ注意と書き添える。
これで終わりだ。最早私を映すこともない。




(お題:鏡)

8/17/2024, 4:57:53 PM

カバンを集めるのが趣味だ。どこにも出かけないくせに、ポーチやらトートバッグやらが溜まっていく。
なにかイベントごとがあったりすると、バッグのなかに関連するものを詰める。例えば、映画なら、公式トートバッグを買って、その中にパンフレットとかグッズのアクキーとかを。そしてその一式をそのまま部屋の隅に放り投げて、放置する。そうやって出来たカバンの山の一角が、部屋の少なくない面積を占有している。

片付けることにした。
カバン一つを手に取り、中身を確認する。これは何年か前に行った展示会だな。ポストカードが4枚、シールシートが2枚、クリアファイルが1枚、会場で回したガシャポンが2個。
カバンかけにかけ直す。中身はそのままだ。
次のカバン。知り合いのコンサートに、付き合いで行ったやつか。グシャグシャになった演目リスト、お手製の入場チケット、彼女からお礼にともらった、ちょっとした小物類の詰め合わせ。賞味期限のあるコーヒー豆だけ取り出してある。
これもカバンかけへ。
お次は? おや、これまた随分と古いものが出てきた。大学生の頃、ガチ恋した相手との縁結びを願って、有名な神社にお参りしたときのものだ。出てきたのはおみくじ、それと扇形のペアのお守り。金属製の扇に「えんむすび」と書いてある。これの片方を想い人に渡して、恋愛成就を願うのだそうだ。「えんむすび」と書いてあるお守りを渡す勇気などなく、結局その人とはなんにもならなかった。お守りを袋に戻す。なんとなくおみくじを広げる。大吉。今となってはなんの感情もない。綺麗に畳んで、カバンに戻す。カバンは、カバンかけへ。
それから、次は……

使わないカバンなんか中身ごと捨ててしまえばいいのに、夫にはからかい混じりでそのように言われる。
知ってるんだ、夫は単に、自分の趣味のプラモを飾る場所を確保したくて、私のカバンスペースを狙っているのだということを。

いつまでも捨てられないもの、それは、やっと手に入れた、愛する人との平和な暮らし。一生、捨てるつもりはない。

(お題:いつまでも捨てられないもの)

8/16/2024, 10:14:13 AM

私は若い頃から切磋琢磨することを好み、自己鍛錬を怠りませんでした。晩年には血縁外からの初の社長に、そしてその後会長になり、多くの社会貢献もしました。それが私の誇りです。

私は若い頃から、アイドルとして多くの人に夢や希望をお届けしてきました。生憎病気で早逝することになりましたが、私の闘病姿はファン以外の人にも勇気と元気を与えました。それが私の誇りです。

私は世界各国を回り、青少年ボランティアとして貧しい国の子どもたちの生活の質向上と教育の支援に力を入れてきました。自分の人生の大半をアフリカに捧げ、アフリカには私の子どもと呼べる若者がたくさんいます。それが私の誇りです。

……誇らしさとは人それぞれだね。
はい、次の人。
あなたが、自分を誇らしいと思うことを教えてください。

私は、……私は、幼い頃からいじめにあい、ずっと不登校でした。ろくに就職もできず、バイトで食いつなぎました。もちろん、一生独り者です。でも、私は、寿命が尽きるまで生き延びました。生きることを諦めませんでした。それが……私の誇りです。

……人それぞれだね、本当に。
はい、次の人。


(お題:誇らしさ)

8/16/2024, 7:28:04 AM

時間ないので、下書きスペースのみ確保しておきます。
後で編集します。

(お題:夜の海)

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