桜井呪理

Open App
9/30/2024, 12:31:56 PM

きっと明日は晴れるはず。

大丈夫だよ。

そう言って姉は眠りについた。

姉の言葉を信じた。

信じていたかった。






ある日地球の水は枯れ果てた。

馬鹿な人間が使いすぎたから。

世界は砂漠と化し、すべての生き物が自分の死を悟った。

そんな時科学者がある発明をした。

砂を原子分解して、雨雲を作る装置。

みんなで協力して使えば世界を救える大発明。

なのにね。

馬鹿な人間はそれを独り占めし、怒った他の人間は装置を壊した。

壊れた機械は、世界を水没させる兵器となった。

その日から、雨が止むのを見たものは、一人もいないのだと言う。









恐ろしい兵器は徐々に故障し、死んでいった。

あと二人だけ。

そう。

私と姉は、あの恐ろしい兵器だ。

姉は、明日は晴れると嘘をついて眠った。

もう目覚めることはない。

私の涙は、もう雨か涙かわからない。

私はこの世界の全てを砂と認識した。

温もりも感じない機械である姉を抱きながら、私のたつ地面は、私に吸い込まれ、雨となり、



















埋もれていった。

9/29/2024, 4:27:55 AM

はあ?
お前みたいなやつ好きになるわけないじゃん。
早く消えろ。

これが私の初恋の終わり方。

ずっと好きにさせるために頑張ってきた。

そんなのも無駄なんだって思うと苦しい。

苦しいよ。

君が好きだから毎日を生きてきた。

君が私をいらないと言うなら

私は明日目覚める理由などない。

依存と呼べるほどに好きなひと

あなたは私がいらないんだね。

あなたは私の告白など見向きもせず

この屋上から立ち去ろうとしている。

そんなの嫌。

別れ際の最後の一押しのように、彼の手を捕まえる。

彼は私の手を振り払おうとする。

離さない。

怒りと悲しみと無気力な気持ちが混ざって、もうどうでもいい。

気持ち悪いほど満面の笑みを浮かべる。

屋上の端へと彼を引っ張る私を見つめる彼の顔は、みたことのないほど引き攣っている。

「お前どこからこんな力が」

彼は叫ぶ。

まあそうだよね。

私はヴァンパイア。

恋に飢えた私を傷つけたあなたは、もう私と離れられないね。

ずーっと一緒だよ。

真っ白な腕で彼を抱きしめながら私は屋上の端を蹴り



















共に宙に舞った

9/24/2024, 8:44:16 AM

ジャングルジムに座る女の子が一人。

その子は歌を歌っている。

その歌を聞いてはダメよ。

人間で居たいなら–---



こんな言い伝えが、私の村にはある。

私はこの村に住む住民の一人。

私には特別な能力がある。

私は人間以外の話す言語がわかるのだ。

そのことは村の人には言っていない。

でも村の人たちは、親もいないのに森の中で一日中楽しく歌う私が、嫌いみたい。

いつも私が来ると意地悪するし、今度の儀式?では私を生贄にするらしい。

その時、この噂を聞いた。

その歌を聞きたいと思った。

女の子も私と同じだと思った。

村の人に嫌われている私でも、その子になら嫌われない気がした。

その歌は何を言っているか分からないらしいけど、そんなの気にしないと願った。



村は夜の闇に包まれた。

今なら動いても大丈夫。

私はジャングルジムに向かった。

歌が聞こえる。

何を言っているのかもはっきりと。

つまり。

あの子は人間じゃないと言うこと。

恐る恐る話しかける。

村の人なんて嫌い。

私を人間じゃなくして。

そう言うと女の子は満面の笑みで笑う。

いいよ。

この歌が聞こえるなら、

あなたは私の友達。

やっと一人じゃなくなったね。

お互いに。

その子は泣いていた。

その子の着ているものは、生贄にされる時に着る、白い着物だった。

死んでからずっと一人だったんだね。
これからは二人一緒だよ。

そう言う私も泣いていた。

女の子は歌を歌い出す。

その歌を聞きながら私は思い出した。

昨日私が生贄となって死んだことに。

でも

もう一人じゃないならどうでもいいと願い目を瞑った。







生贄の女の子二人は、人ではなく、二人の白いカラスとなって、天へと飛び立った。





9/23/2024, 9:53:06 PM

この世界は音で溢れている。

そんな常識誰でも知っている。

そんな常識がある日、覆った。

私はある日、倒れてしまった。

原因は分からない。

急に視界が真っ白になって、気づいたら白い部屋にいた。

ただそれだけ。

なはずだったのに。

その日から私の世界は、止まってしまった。

音のない世界に私だけ取り残された。

そんな気がしてたまらない。

最近では、だんだん頭も真っ白になっていくように、記憶さえも音と一緒に消えていく始末だ。

なんで私だけ。

置いてかないでよ。

泣きそうになる私の部屋に、一筋の風が吹き抜けた。

カレがきたんだ。

そう気づいた。

やあ。

笑いながらカレはそう呟く。

カレをみて、溢れそうな涙が溢れる。

カレは小さな手で撫でてくれる。

大好きなカレ。

カレの声が聞けたらいいのに、。



ある日私は手術をすることになった。

失った聴覚の部分を提供してくれる人が見つかったらしい。

しかも両耳だ。

カレにそのことを話すと、笑って喜んでくれた。

でも

その顔が少し憂いた顔に見えたのは、気のせいだろうか。




手術が終わった。

世界に色がつき、音が戻っていく感覚に安堵しながら、彼の所に向かった。

カレの病室に行く。

ドアを開ける。




カレは居なかった。

困惑しながら、カレのベットを見ると、小さな手紙が置いてあった。

手紙を開ける。


ごめんね栞菜ちゃん
ずっと君と一緒に居たかった
僕は病気だったんだ
君の聴覚を提供したのは僕なんだ
音で溢れる世界で、笑って生きてね
悠人より

涙が溢れた

カレには会えない。

そんな絶望が押し寄せた。

でも

カレは笑って生きてと願っている。

なら私は笑って生きよう。

そう誓って窓の外に耳を澄ました私に、カレの拙い歌声が



聞こえた気がした

9/4/2024, 11:49:02 AM

煌めく星空

あの中の一つにきっといる

会いたいな





君に

Next