世界の終わりに君と
世界の終わり。
(( ____ぁ、しぬなこれ____ ))
車が自分目掛けて走ってきた時、そう直感した。
゛ドン゛ !
大きな音と共に私は宙を舞う。
初めて、太陽に近付けたなー…
と思った。
今でも思う、呑気だなと。
体に大きな衝撃が走る。
私は重力に逆らえずに落ちたのだ。
体が地面に打ち付けられ、真っ白でお気に入りだったワンピースが真っ赤に染っていく。
((嗚呼、せっかく今日はお洒落したのに。台無しじゃん。))
視界が赤く塗りつぶされていく。
______私が死んだから、゛私の世界゛は終わりを告げる。
゛私の生きた世界゛は、終わってしまう。
貴方との思い出も、全部゛ここ゛に置いて、
旅立ってしまう______
_________嗚呼、そっか。
君が現れたのは数日前だ。
真っ黒なパーカーの服を着て、フードを深く、深く被った貴方。
貴方は必ず゛死人が出た場所゛に現れた。
゛事故があった場所゛に君はいつも駆けつけた。
ただ、冷たい目線で。
そんな貴方に私は惚れた。
でも、いくらこの街の隅々を探しても、貴方を見つけることは出来なかった。
そこで私は気づいた。
_______ 死人さえ出れば、貴方に会える
と。
___________連続殺人事件の犯人は私。
全て、あなたに会うために。
あなたとお話がしたい。
周りの音も目も、奪われた時
ただ、貴方のその冷たい顔にうっすらと三日月を描くようにして笑ってるあなたの顔が
私が最後に見た世界の終わり。
正直
”正直者には愛を
”嘘つきには罰を
ならば、全人類みんな 罰を受けなきゃいけないね。
君はそう言って笑った。
吾輩も君につられて笑った。
吾輩は、上手く笑えていただろうか。
吾輩は嘘つきものだ。
でも、それでもキミだけは
幸せそうに笑っていて欲しい。
そう願っている、ウソツキモノ
梅雨
梅雨になると気分が落ち込む。
でも、雨はすき。
雨は何時でも、変わらない色をしているから
天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、
君はよく、天気の話をする。
今日だって君は天気の話をした。
「今日も雨だね、もう梅雨かー。もしも、今が梅雨ならもう時期夏だね。」
君はそう言ってほくそ笑んだ。
今の君は、目元の隈がよく目立つ。
真っ白な肌に飴玉みたいにキラキラ光る瞳に、うっすらと赤くなっている頬。
_______昔の君は輝いていた。
見える物全てが新しい物のようにして君はよく、目を大きく開けて飴玉のようなキラキラ光る瞳を、落としてしまいそうな程、楽しそうにする君が、大好きだった。
君みたいな人は他にいない。
僕の目に映る君は、
全力で笑って、怒る時は真剣に怒って、
相手が泣いているとまるで自分の事のように泣いていて、
逆に相手が喜んでいると自分の事のようにして共に喜んで、
助けて助け合って……
君の周りだけ、まるで魔法がかかったかのようにしてキラキラしていた。
ある日突然その魔法が解けてしまった。
君にかかっていた魔法が解けてしまった。
君はまるで電池が切れた玩具のように動かなくなった。
沢山の人が君を助けようと奮闘した。
でも、僕にはわからなかった。
頭が真っ白になっていた。
何がどうなって、君がどうなるのか……
僕には分からなかった。
君の親が、僕の頭を撫でる。
君の親は涙目で、僕まで涙が出そうだった。
でも、僕は泣けない。
こんな時に泣けない僕が嫌になる。
それでも、僕と君は違うし、周りと僕は違う。
僕は他の人みたいに大っきくない。
君の言っていることが、周りが言っていることが、僕には理解できない。
でも、真っ白な部屋で1人寂しそうに眠っている君を見ていると僕は心底悲しくなる。
虚しくなる。
胸がきゅぅって締め付けられるんだ。
ある日、君が目を覚ました。
白い服を着た男とか、女の人がやけに慌ただしくなっていた。
君の親もほっとしたように笑っていた。
そんな中、僕は白服の男に見つかって、君の真っ白で綺麗なお城から追い出されちゃった!
酷い話だな。
全く…僕だって心配しているのに。
君にどうしても会いたかった僕はありとあらゆる方法を試したんだ!
そしたらなんと、君の部屋に通じる僕だけの道を見つけちゃった!
嬉しくて嬉しくて、思わず飛び跳ねた。
そこから毎日、君の家に通った。
今日も、君の親とか、他の人に内緒で君の家のお城のように真っ白な窓から君の部屋に入る。
そしたら、君はあの飴玉みたいな瞳に白い布をしていた。
僕は訳が分からなくなった。
_____部屋を間違えた?
そんなはずない、この人から臭う匂いは君のものだ。
頭の中が?で詰め尽くされる。
そんな時、君が目を覚ました。
「……___?_____なの??」
君が僕の名を呼ぶ。
僕はそれに答えるようにして鳴いた。
すると君は僕の頭を撫でてくれた。
顔は見えなかったけど、きっと呆れているんだろうな、そう思った。
君は僕の頭を撫でながら僕に質問した。
「……今日は雨が降っていたの?」
「!!」
僕は思わず驚いたんだ!
だって、君はその目に付いてるもののせいで分かんないはずなのに、あの水に気がついたんだ。
僕は何度も頷いた。
なんども そうだよ! と言った。
そしたら、君は悲しそうな顔をした。
ただ、一言
「あと××週間……」
確かにそう言った。
何があと××週間なんだろぅ?
僕にはよくわからなかった。
その日から、君は毎日天気を訪ねてくるようになった。
その日をさかいに君はどんどんやつれていった。
ある日の夜、君は言った。
「明日の天気はなんだろうね。」
僕は答えた。
「きっと雨だよ。」
________天気の話より、君の話が聞きたい。
珍しくそう思った。
いいや、君の話を聞かないといけないと思った。
冷たくなった君が、夢に出てきちゃうから。
ただ、必死に走る私。何かから逃げるように
走って走って走って走って、足がもつれても、体力の限界になっても、コケても
濮は走り続けた。
”黒い何か”から逃げるために。
そいつは、濮の負の感情を食おうとしているのか、濮を追いかけてくる。
なぜ、負の感情を食おうとしてる、と思ったのかと言うと理由は単純で、身に覚えがあったから。
濮は、あの子に嫉妬している。
濮は、あいつが嫌い。
濮は、あの人にしんでほしい。
濮は、彼が居なくなることを望んでいる。
濮は、彼女が欲しい。
寂しい、悲しい、寒い、孤独、嫉妬、切なさ、殺意、怒り…
喜怒哀楽が激しいな、なんて自分で思う。
そんな欲にまみれたこの感情を、心を
奴は食おうとしている。
それは、腹が空いているのか、それとも
力を求めているのか。
濮にはわからない。
でも、捕まったらやばいって事だけはわかった。
ふと、肩に重みが加わった。
耳元で誰かの笑い声がした。
頭が真っ白になっていく。
目の前が真っ暗になっていく。
寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい!!!
寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いっッッッ!!!!!!!
感情がぐちゃぐちゃになっていく______
嗚呼、どうやら濮は________
ク ワ レ チ ャ ッ タ ミ タ イ