11/10/2024, 11:54:06 PM
穂が揺れる。風で揺れる。
照る陽は穏やかに、空も晴れやかに。
朱も花もない地で実り、細波のようにこすり合う。
肌を撫でる寒空もすぐそこに。
縁側で煎茶を傍らに、眺めるひと時ももう暫し。
穂が揺れる。風で揺れる。
刹那の季節に、心も揺れる。
【ススキ】
11/1/2024, 11:00:41 AM
僕たちは終わりを知っている。
それがどんな形かを知っている。
僕らにもいつかやってくる。
ない物ねだりに永遠を欲しがる心を持ったまま、
僕らは今日も生きてゆく。
その日まで、永遠にね。
【永遠に】
11/1/2024, 12:32:07 AM
至福。安寧。平穏。
それらに反した要素で、日常化が絶えず続いている。
だからこそ人は夢を見る。
果てしない自分の楽園を、恋するように求めて。
【理想郷】
10/31/2024, 12:28:48 AM
前へと進むほど、何かが遠のいていく。
人は、これを意外と忘れがちになる。
目先に囚われ追いかけて、気づいた頃には田園のど真ん中。
それは成長という山々を、その険しい道のりを歩んだ先。
いつの間にか一人ぼっちになったのに、不思議と残念には思わない。
得るものを得ては何かを捨てて、知らぬ間に自分の足で辿り着いたゆえか。
鬱蒼とも、豊かとも思える背高い茂みに囲まれた生活。
時として潤いに満ちた空間に踏み入れ、萎れた心を存分に濡らした。
これもまた不思議なものだ。
嫌と感じていた世界に、ほんの少しだけでも戻ってみたい自分がいることを。
陰りに差した淡い木漏れ日と、澄んだ水音に惹かれたあの瞬間を。
置いてけぼりにされた癒しのひとときを思いに募る。
自分以外では敵わない、広がる白い山嶺に眼差しを向けて。
【懐かしく思うこと】
10/6/2024, 2:18:46 PM
思い出をフィルムに焼きつけても、
味わった頃には戻れない。
あの感覚も、あの瞬間も、
あの日だけ。あの時だけ。
【過ぎた日は想う】