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9/25/2024, 3:13:45 PM

窓から見える景色。

皆、見えてる景色は違うのに、それがさも美しいかの様な勘違いをする。枠組みとは、そんな魔法。
私の家には、ベランダに続く窓と小窓がある。外がよく見えるのは大きい方で、簾なんかオシャレなものを垂らしている。
僕がお風呂から覗く窓は小さく、蒸気で曇っている。この何となく漂う雰囲気が好きで、ついつい長風呂をしてしまう。
きっと、よくみえてない だけなんだ。景色より、隣に居る人や温度、匂いや音に風なんかの取り巻く空気感みたいなモノに浸って、酔っ払っている。
ああ、美しい。
とても綺麗で、物憂げで、儚げで、静かだ。
画面を見ず、人と話さず、身体の動作を極限まで払い 佇む。
深呼吸をするほどに、落ち着きを持つ。
手元の写真と同じ 画角に明暗で、違う景色。
これが、見える景色。
大切にしろよ。と、なげ掛ける自分は 誰だ。

9/24/2024, 6:08:50 PM

形の無いもの。

形のある、大切なモノはそれ程多くない。だからこそ無くなると取り戻せないし、気付けない。
僕はあの日 猫を拾った。餌をやり、声を掛け、心を寄せ、居なくなると探し回った。その時の僕には何よりも大切なモノ。今では重要な 思い出。
テーブルに向かい、正しい数値を求める。勉強したいと意欲を見せ、誰かと自分を納得させる。私の使い続けるこのシャーペンは、無敵なのか。
思い出の品とか、思い出すと心の温かくなる記憶帳、腸から傷む思いも、この手先の震えにもかまわず、新しく更新する時間。
あの時の気持ちも、創った作品も、集めた漫画も手紙も、失敗も、すべて全て一度無くすと戻らない。
忘れた記憶は戻らないし、無くした物体は忘れてしまう。
なら、形の無いモノで、自分の全てを埋めたらいい。穴も漏れも無い美しく堅牢な空間にする。
でも、ふと出たため息は、形を成してしまう。
完璧には、なれないモノだ。

9/23/2024, 3:04:10 PM

ジャングルジム。

一度は夢を持って登った公園の遊具。きっとあの日見た、観ていた景色を、もう一度感じられると、信じていた。
夜の公園は自由だ。子供も居ない、大人もいない。ただ私と、私の気を許した君だけが居て、爪を噛むような退屈な日々を忘れさせてくれる。
音楽を聴き、通りすがる犬に嫌悪か好感を抱き、隣を走るあなたの匂いが気になる。散歩なのかランニングなのか、とりあえず過ぎるこの時間が好きで、目的地を目指す。あの日の思い出の遊具。
ジャングルでも無いし、退屈なジムでもない。そそられる魅力は無いし、吸い寄せられる力も無い。そんなはずの、あのジャングルジムに、夢をみてる自分がいる。
肌が啜り泣く様な悪寒と、不安定な足場がマッチして、歳の残酷さを知る。あぁ、と。怖いのかと。
あの日感じた自由という高揚感が、今では足元の見えない只々不安定な忌み嫌う空虚にしか見えない。
ブランコなら良いのか。滑り台はどうだ。
他人とでも漕げる舟なら、もっと心地良いのか。
知りたくはない。

9/20/2024, 4:05:31 PM

大事にしたい。

本当に 大切にしたいとか、必ず 護りたいとか、とても 想っているとか。そういう枕詞の本心を大事にしたいと思っていた。
僕の心の奥は腐っているなんて、厨二病みたいに豊かな想像力をフルに回して妄想している。勉強も運動も嫌いで、趣味は引きこもり。親との会話が鬱陶しくもムズ痒い、今この時。
私の手が荒れていく様は、痛くて辛い。炊事に掃除に仕事に、水場の事はさも当然かのように割り振られる。子供は許せる。大人は許せない。
日々、重ねて掬って捏ねて耕して丸めて、形のあるものとして見出している。これがいつか大切な思い出になると、信じて止めないピュアな君が、一番の宝物にみえる。
この日々、毎日を大事に大事にした。
壊さないように、無くさないように、手から離れないように、見失わないように、踏みつけないように、凍えないように、する。
そんな自分も、大事にしていいだろうか。
悪いのだろうか。

9/2/2024, 3:31:53 PM

心の灯火。

提灯を持って、ただその火が消えない様に、ケタケタと下駄を鳴らして歩く。そんな風に生きてみたかった。
生き方ってのはそれぞれだ。僕は毎日同じものを食べ、飲み、感じ、見て、笑い、眠る。喜怒哀楽は平常で、突飛な事はご法度。それが幸せだ。
眠る時にふと天を仰ぐ。今日も、昨日も明日も少しも変わらぬ私の天井。天変地異でも世界戦争でも、親の離婚でも変わらない、この天井。
何か大切なものが無くなるのは、本当に一瞬で、一生で、人生の後悔なんてものはこの瞬間に支配されてしまう。
心に秘めた思いとか、10年越しの言葉とか、はじめの第一歩だとか、記念すべき出来事は幾らでも作り出せるのに、一度壊れた思い出のギターはもう戻らない。
心に灯火を宿し、滑稽なまでに一点で、精を出し、心根を健やかに保ったとしても、結末は唐突で無配慮だ。
だからかな。その灯火の株を移し変え、油を足し、窓を閉め、世話のかぎりを尽くしてやる。
まだ、消えないように。まだ終わらない様に。

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