形の無いもの。
形のある、大切なモノはそれ程多くない。だからこそ無くなると取り戻せないし、気付けない。
僕はあの日 猫を拾った。餌をやり、声を掛け、心を寄せ、居なくなると探し回った。その時の僕には何よりも大切なモノ。今では重要な 思い出。
テーブルに向かい、正しい数値を求める。勉強したいと意欲を見せ、誰かと自分を納得させる。私の使い続けるこのシャーペンは、無敵なのか。
思い出の品とか、思い出すと心の温かくなる記憶帳、腸から傷む思いも、この手先の震えにもかまわず、新しく更新する時間。
あの時の気持ちも、創った作品も、集めた漫画も手紙も、失敗も、すべて全て一度無くすと戻らない。
忘れた記憶は戻らないし、無くした物体は忘れてしまう。
なら、形の無いモノで、自分の全てを埋めたらいい。穴も漏れも無い美しく堅牢な空間にする。
でも、ふと出たため息は、形を成してしまう。
完璧には、なれないモノだ。
9/24/2024, 6:08:50 PM