千年後の世界を想像してみる。
今や手軽に海外旅行を楽しんだり移住しているように、未来では火星や月に人が住んでたり、遠くの星に旅行に行ったりしているんだろうな。
勉強は大変そう、国語算数理科は強化されて英語は教科から消えてると思う。
家の蛇口からは、ドクターペッパーが出てくると良いな。
千年後もドクペが愛されている世界であれば良いね。
テーマ「1000年先も」
何か浮かんで書いてはそれを消して、また別のことを書く。
長々と書き連ねた文章、けれど、書きたい結末には辿り着けず。
消去。消去。消去。
支離滅裂な思考回路、滅茶苦茶な感情は、指先には伝わらない。
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言葉にすらなれない、ただの文字の羅列を消していく。
テーマ「勿忘草」
日課の早朝散歩、底冷えのする静かな住宅街をテクテク歩く。
犬の散歩をするご近所さんと挨拶を交わして、気ままに右へ左へと角を曲がる。
住宅街の真ん中ら辺、小さい公園に出た。
ちょっと疲れたので休憩したいが、ベンチには同様の理由で座っているだろう犬連れの老夫婦。
仕方ない、これは仕方ないことだよ。
ウキウキと青い囲いを越えて、久方ぶりのブランコに座る。
キンキンに冷えた硬い座面、鉄さびの浮いた懐かしい骨の様な形のチェーンを握りしめた。
そのまま足で前後にゆらゆらと揺らしてみる。
うーん、懐かしい。
地面からそっと足を離して、冴え冴えとした黎明の空を見上げた。
テーマ「ブランコ」
始まりがあれば、それに相応しい終わりがある。
私達は全く別の世界から召喚された寄せ集めのパーティーだった。
そこに住む人間の王に魔王討伐という汚れ仕事を押し付けられて、よくわからない奴等とよくわからない縁もゆかりもない世界の、クソどうでも良い闘いに強制的に参加させられた。
元の世界に帰る為、慣れない異世界で私達はガムシャラに武器を振い、目の前の「敵」といわれた者を屠った。
数十人居たパーティーは半月で私を含めて五人になった。
魔王の城に近付くにつれ物資の供給が滞るようになり、仕方なく殺した敵の肉を焼いて飢えを凌ぐ。
生き血を啜り、死骸をバラして肉を食い荒らす。不味い。
見知らぬ魔王よりも、この世界の人間に腹が立った。
魔王の死体を土産に王都へと帰還する。
良く研いだ長剣の刃が陽を浴びて青く閃いた。
テーマ「旅路の果てに」
いつもなら足早に通り過ぎてしまう商店街の花屋の前で、今日は足を止めた。
仕事終わりの帰り道、大寒の、氷の礫が混じっているかのような痛く冷たい風がアーケードの中まで入り込んできた。
吹き抜けていく寒風を肩を窄めてやり過ごしながら、オレンジ色の暖かな証明に照らされた花材を見つめる。
ああ、もうそんな時期か。
なんの変哲もない、黄色い花を咲かせた菜の花が中途半端に二本だけ残っていた。
綺麗なのに残念だ、二本だけでは売れないだろう。
寄り添うこと無く離れている菜の花を眺めていると、花屋の店員が外に出していたポット苗を黒いカゴごと店内に仕舞いはじめた。
ああ、もうそんな時間か。
今ならまだレジを締めていないだろう、と再び外に出てきた店員を呼び止めて、その二本を買い求めた。
テーマ「きみに届けたい」