君が幸せなら、私も幸せ。
おめでとう、という祝福の声と共に手の中の造花の花びらを新郎新婦へと放つ。
鮮やかな色の花びらが舞う花道を寄り添って進んでいく二人。
幸せそうな顔、白いドレスとタキシードが冬晴れの柔らかな陽射しにキラキラと光り輝いていた。
遠ざかっていく背中をただ眺めているだけで、胸が一杯になってギュッと目を閉じる。
きっと誰にも伝わらない、私の愛。
私の幸せ。
テーマ「I LOVE…」
世の中、要らない優しさで溢れている。
金にならないものは、この際捨ててはどうか?
捨てることが出来ないなら、有償にしてはいかが?
スマイル百円、挨拶千円、サービス残業は一万円。
今よりずっと、明日よりもっと。
他人に優しくなれそうでしょ?
テーマ「優しさ」
急な仕事が入って帰りが遅くなると、ついさっき君からメールがきた。
晩御飯も外で済ませてくるというので、 「了解」と返事をして、火を着けようとしていたグリルから鯵を掴み取る。
焼き魚はやめて、たまにはアジフライに。
フライなら冷めても美味しいし、パンにも挟める。
丸々とした鯵の頭をザックリ落として三枚におろす、中骨も生ゴミ削減の為、基い、勿体ないので骨せんべいにしよう。
バッター液を絡めた切身をパン粉の上に落としていきながら、大きく息を吐いた。
ひとりなら茶漬けで良いかな。
バラエティ番組の騒々しい笑い声に今日は何故だが苛ついた。
テーマ「ミッドナイト」
思い出せない。
毎日のように隣に居て、笑っていた君のこと。
真っ黒に塗りつぶされた君の顔。
大きく開いた口が笑った。
ホントに居たのかな、僕の隣に。
君は存在してたのかな。
思い出せない、君の名前を。
あれだけ毎日のように呼んでいたのに。
今は、どんな名前だったか、最初の一音すらも分からない。
ごめんね、こんな友達で。
また君に、死を与えてしまう。
テーマ「逆光」
夢を見るのは楽しいことだけど。
夢を見過ぎるのは、あんまり良くない。
振り回されて疲れてしまうから、夢を見るのは程々に。
夢は見たけど覚えてない位がちょうど良い。
夢は所詮、夢でしかないから。
目の前の現実を大切に。
テーマ「こんな夢を見た」