あなたに幸せになってほしい。
なによりも…誰よりも、ずっと。
あなたが誰もが羨む幸せを手に入れたのなら、
あなたを愛した私は、私を誇らしく思うだろう。
【誰よりも、ずっと】
気が向いたら連絡して、電話をして声を聞く。
都合がついたらどこででも会いましょう。
話したいことなどいくらでもあるから。
本当はもっともっと近くにいて、
昔のようにいつでも、毎日でも会いたい。
けれどお互い仕事という壁が邪魔をする。
それでも君に会える瞬間が私の時に色をつける。
いつでも、ずっと。これからも、ずっと。
傍にいて、話をして、笑いあえたなら…。
ねえ、大好きな親友。
君にこの言葉は届くのかな?
【これからも、ずっと】
沈む夕日と赤く染まる空、浜辺を歩くあなたと私。
あれは遠い南の島で、ほんのひとときの恋だった。
思い出すには拙くて、振り返るには青かった。
それでもそのほんのわずかなひとときが、
今でも私の胸を締め付ける。
今はもう互いに違う人を選び、
交わらない道を歩んでいるけれど、
ふとした瞬間に見たこの景色が、
いつでもその記憶を呼び起こす。
真闇な夜に浮かぶ白い月、波と足音だけが響いてる。
浜辺を歩くあなたと私、過去の記憶の影法師。
思い出すのはあなたの声、振り返ればあなたが笑う。
それでも記憶の中のあなたの顔が、
今ではもう黒い帳に遮られる。
これが過去になることだというのなら、
この想いさえも消してくれればいいのに…。
【沈む夕日】
君の目は深い深い、うみの色。
うつろい、揺らぎ、光を反射する。
君の目を見つめると、暗い深淵の底に
誘われるように吸い込まれていってしまう。
もがけばもがくほど絡め取られて、
君の目から視線を離せなくなって、
―――そして、手遅れになってから気付く。
君のその目が何も映していないことを…。
君は何も見ていない。君は誰も見ていない。
目の前に立っている僕の姿すら一分も留めず、
ただ、そこにありて――あるのみ。
けれど君のその目はあまりにも美しく純粋で、
だからこそ僕は君を愛してしまったのだろう。
【君の目を見つめると】
108の星が集う星空の下で、僕と君は出会った。
優しく吹き抜ける風は髪を撫で、頬を撫で、全身を柔らかな薄膜で包み込み、穏やかな時間を与えた。
あのときの風《きみ》が僕にとってどれほどの救いだったのか、おそらく知るものは少ないだろう。
風は何処にいても吹いていた。
それは同時に、何処にいても君を感じられた。
言葉なくとも、触れることがなくとも、互いに異国の地を踏み、相見えることがなくとも、その風が吹けば君は常に僕の傍らでぶっきらぼうに立っていた。
けれど、その風が止むということは――…すなわち。
さあ、風が止まった彼の地に行こう。
もはや風が抱いていた星はなく、赤い凶星は堕ちた。
108の願いを束ねた星は砕け散り、鋭利な欠片となって降り注ぐ。…あの日の星空は、ここにはもうない。
教えてください。運命とは―――。
【星空の下で/幻想水滸伝】