沈む夕日と赤く染まる空、浜辺を歩くあなたと私。
あれは遠い南の島で、ほんのひとときの恋だった。
思い出すには拙くて、振り返るには青かった。
それでもそのほんのわずかなひとときが、
今でも私の胸を締め付ける。
今はもう互いに違う人を選び、
交わらない道を歩んでいるけれど、
ふとした瞬間に見たこの景色が、
いつでもその記憶を呼び起こす。
真闇な夜に浮かぶ白い月、波と足音だけが響いてる。
浜辺を歩くあなたと私、過去の記憶の影法師。
思い出すのはあなたの声、振り返ればあなたが笑う。
それでも記憶の中のあなたの顔が、
今ではもう黒い帳に遮られる。
これが過去になることだというのなら、
この想いさえも消してくれればいいのに…。
【沈む夕日】
4/7/2024, 3:56:38 PM