108の星が集う星空の下で、僕と君は出会った。
優しく吹き抜ける風は髪を撫で、頬を撫で、全身を柔らかな薄膜で包み込み、穏やかな時間を与えた。
あのときの風《きみ》が僕にとってどれほどの救いだったのか、おそらく知るものは少ないだろう。
風は何処にいても吹いていた。
それは同時に、何処にいても君を感じられた。
言葉なくとも、触れることがなくとも、互いに異国の地を踏み、相見えることがなくとも、その風が吹けば君は常に僕の傍らでぶっきらぼうに立っていた。
けれど、その風が止むということは――…すなわち。
さあ、風が止まった彼の地に行こう。
もはや風が抱いていた星はなく、赤い凶星は堕ちた。
108の願いを束ねた星は砕け散り、鋭利な欠片となって降り注ぐ。…あの日の星空は、ここにはもうない。
教えてください。運命とは―――。
【星空の下で/幻想水滸伝】
4/5/2024, 2:46:52 PM