落雷で消える
ライトの光
乱雑で寂れた
ランドリーの隅
「来世で会おう」と
楽観出来ぬ若者達は笑う
落下する意識とカラダ
「楽に生きれたら良かった」
乱心の翌朝
雷鳴は跡形も無く
ラジオのニュースで語られる
LOVEの末路は30秒
テーマ『ラララ』
ある時空を見上げたら、
青々とした晴天の空に
真っ赤な風船が浮かんでいた。
誰かがうっかり離したのだろうか。
風に運ばれてどんどん遠ざかっていく。
空を飛ぶ風船は、
地上の喧騒など知らず
どこまでも自由だ。
青空に浮かぶあの赤を、
今でも時々探してしまう。
あの風船は何処へ行ったのだろう。
誰も知らない空の果てを見ただろうか。
テーマ『風が運ぶもの』
花弁ひらり、風に舞った
静かな水面に触れて
鮮やかな波紋を残した
そんなある春の午前
蝶々ひらり、宙を舞った
やがて仲間と合流し
共に花壇へ消えていった
そんなある春の午後
私はひとり、ここで君を待った
来るはずのない君を待っていた
君という春を待ち続けていた
花弁また、ひらり
今度は私の頬を掠めて
はらり、雫が頬を伝って
アスファルトに吸い込まれて溶けた
テーマ『ひらり』
コンコン
午後イチのノックの音
一体誰かしら?
昨日庭にいた子リスかしら?
それとも迷子の子犬かしら?
コンコンコン
さっきより強いノックの音
あらあら、そんなに急かさないで。
覗き穴から覗いてみれば
そこには隣の坊ちゃんが
花束抱えて立っていた。
「街で見て、あなたに似ていると思ったんだ」
あらまあ!嬉しいわ!
ねぇ少し寄って行かない?
ちょうど今クッキーが焼けたの。
そのお花はテーブルに飾りましょう。
そしてお話ししましょう。
きっと、きっと楽しい時間になるわ。
テーマ『誰かしら?』
とさりと枝に残った冬の最後のカケラが落ちる音で、
巣穴で眠る子熊の兄弟の末っ子が目を覚まします。
「うぅん……誰だい僕を起こしたのは」
外を覗けばあたたかな日差しと鳥の声。
眠る前には沢山あった、
白くて冷たい雪はもうほとんどありません。
足を一歩踏み出せば、
小さな草が子熊の足先をくすぐりました。
「春だ!春が来たんだ!」
子熊は嬉しくなって駆け出しました。
「おぉい皆、春だ、春だよ!」
木の上から寝ぼけ眼のリスが顔を覗かせ、
足元で眠る植物達も目を覚まします。
「春だって?」
「本当だ、あたたかい。春が来たぞ」
「さあ顔を出せ、芽吹のときだ」
声を掛け合い、地上に手を伸ばす植物達。
もうじきお山はまた賑やかになるでしょう。
テーマ『芽吹きのとき』