夜凪

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3/8/2025, 12:36:38 AM

落雷で消える
ライトの光

乱雑で寂れた
ランドリーの隅

「来世で会おう」と
楽観出来ぬ若者達は笑う

落下する意識とカラダ
「楽に生きれたら良かった」

乱心の翌朝
雷鳴は跡形も無く

ラジオのニュースで語られる
LOVEの末路は30秒


テーマ『ラララ』

3/6/2025, 9:23:10 PM

ある時空を見上げたら、
青々とした晴天の空に
真っ赤な風船が浮かんでいた。

誰かがうっかり離したのだろうか。
風に運ばれてどんどん遠ざかっていく。

空を飛ぶ風船は、
地上の喧騒など知らず
どこまでも自由だ。

青空に浮かぶあの赤を、
今でも時々探してしまう。
あの風船は何処へ行ったのだろう。
誰も知らない空の果てを見ただろうか。


テーマ『風が運ぶもの』

3/3/2025, 11:02:02 AM

花弁ひらり、風に舞った
静かな水面に触れて
鮮やかな波紋を残した
そんなある春の午前

蝶々ひらり、宙を舞った
やがて仲間と合流し
共に花壇へ消えていった
そんなある春の午後

私はひとり、ここで君を待った
来るはずのない君を待っていた
君という春を待ち続けていた

花弁また、ひらり
今度は私の頬を掠めて
はらり、雫が頬を伝って
アスファルトに吸い込まれて溶けた


テーマ『ひらり』

3/3/2025, 9:51:17 AM

コンコン
午後イチのノックの音
一体誰かしら?
昨日庭にいた子リスかしら?
それとも迷子の子犬かしら?
コンコンコン
さっきより強いノックの音
あらあら、そんなに急かさないで。
覗き穴から覗いてみれば
そこには隣の坊ちゃんが
花束抱えて立っていた。
「街で見て、あなたに似ていると思ったんだ」
あらまあ!嬉しいわ!
ねぇ少し寄って行かない?
ちょうど今クッキーが焼けたの。
そのお花はテーブルに飾りましょう。
そしてお話ししましょう。
きっと、きっと楽しい時間になるわ。


テーマ『誰かしら?』

3/2/2025, 8:08:27 AM

とさりと枝に残った冬の最後のカケラが落ちる音で、
巣穴で眠る子熊の兄弟の末っ子が目を覚まします。
「うぅん……誰だい僕を起こしたのは」
外を覗けばあたたかな日差しと鳥の声。
眠る前には沢山あった、
白くて冷たい雪はもうほとんどありません。
足を一歩踏み出せば、
小さな草が子熊の足先をくすぐりました。
「春だ!春が来たんだ!」
子熊は嬉しくなって駆け出しました。
「おぉい皆、春だ、春だよ!」
木の上から寝ぼけ眼のリスが顔を覗かせ、
足元で眠る植物達も目を覚まします。
「春だって?」
「本当だ、あたたかい。春が来たぞ」
「さあ顔を出せ、芽吹のときだ」
声を掛け合い、地上に手を伸ばす植物達。
もうじきお山はまた賑やかになるでしょう。


テーマ『芽吹きのとき』

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