S.Arendt

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12/4/2024, 5:28:20 AM

“本当に、いいのかい?”

「ん〜?まぁ、いいんだよ。俺がいなくなっても何とかなる
 だろ!」

…そうは思えないけどな。だって君はみなを愛して愛された魔王だ。そんな存在をすぐに忘れる者はいないだろう。
居なくなれば絶対に動揺するし、悲しむのに。

彼がいなくなること、それを止めることができないことをアーレントはもう理解していた。今はただそばに居て、彼が向かう未来を受け止めて…その未来の先で彼が望むものを守る。そんなことしかできないのだ。

“はぁ…後は遠くから見守ることにするけど、覚えておいて
 いつだって僕は君の味方だ。安心して託すと良い。”

その後はニコ!と歯を見せ笑う彼を見てその場を離れる。
ずっと一緒にいれば未練が生まれてしまうから。

“またね、    。僕の可愛い弟子。この世界の魔王よ。”


「さようなら」なんて言葉は言わないで。
いつかくる再会を願い、前を向く。







そんな彼と酷似する魂をもつ人間が魔界に来るなんて、
予想もしていなかったな。とんだサプライズだ!
アーレントの日々はまた色づき始める-

12/3/2024, 9:42:53 AM

「光と闇の狭間で」

アーレントのことを書きたいので一時保存……
昨日のお題描いてる途中で消えたのでこのお題の下に書きます:;

12/1/2024, 7:18:35 AM

やわらかな日差しが差し込む部屋にあるベッド

その上には人が寝ていて、周りを大勢が取り囲む
手を握ったり感謝などの言葉を伝えたり…

アーレントはその中で浮いていた

戦死する者を見送ることが多く、このように面と向かって
火が消えていく瞬間に立ち会うことがなかったからだ

「おいで、私の友…アーレント。」

この子の声はここまで弱々しかっただろうか、
伸ばされた手はこんなにも皺ができていたのか

流れる時の違いをあまり気にした事がなかった
だってどうせみんなすぐに死んでしまう

なんて声をかければいいんだろう
どうしよう、と手を握り立ち尽くす

“……ぁ、………。”

ぱくぱくと口を開いては閉じて言葉を探す

「泣かないで、アーレント。君を置いて行ってすまない。
 我が孫たちとも仲良くしてやってくれ。
 今まで本当にありがとう。」

困って泣き出しそうな表情だったアーレントを見て、
金髪の前王は話す

今にも消えそうな声でゆっくりと


“…僕は今まで涙が出て泣く、という経験をした事がない。
 でも、君が言うなら…そうなのかもねぇ。
 君と過ごした約80年はとても楽しかったよ、クランツ。
 よくここまで生きてくれた。僕が飽きるまではこの国に
 いるから安心するといい。”

ふわ、口角をあげ王は頷く

「良い、人生だった。グランローヴァ様と友人になれただけ
 でなく良き妻と賢い子供達ができた…ありがとう…」

そう 言って
彼の瞼が下りた

皆が涙を流し、別れを惜しんでいる

“…ゆっくりおやすみ、クランツ。またいつか、どこかで。”

寂しげに微笑むアーレントは幼子をあやすように頭を撫でた

その数年後、彼の孫娘のデビュタントのお相手はクランツ王と揃いの礼服を来た淡い青や紫がかった銀髪の人物だったそうな……

11/30/2024, 4:09:28 AM

冬のはじまり

ストーブに火を付けて、上にミルクパンをのせる
もちろん中には牛乳を入れて、温める

生クリームととき卵、それに砂糖を入れてすこし温めてから
ナツメグを数量入れる

そうすると冬の寒さを温めるエッグノッグの完成だ

シナモンを最後にかけて、お好みでブランデーも入れる

子どもにも大人にも人気な北米の飲み物
僕は寒くなってきた頃に甘い香りを思い出す

11/28/2024, 4:59:46 PM

まだ

まだこの人の命は途絶えていない

とく、とく、と流れ出る赤い液

大きく開いた傷口が、死に至るとしらせる

まだ途絶えてはいない

だが…時期に途絶えてしまう

魔法を使う容量で魔力を紡ぐ

ほそく、細く紡いでいく

“聞こえるかい?君の傷はいずれ死に至るものだ。
 クランツ、絶対に助けるから…諦めないでね。
 君のこの生を、終わらせないで。遺言なんて聞かない。”

コク、と小さく頷く彼を見て少し安心する

さあ!神とも呼ばれてしまった魔法使いの力を見せようか!

我が友をそう易々と死なせてなるものか


後日金の穂が揺れる寝室でお茶会が開かれるだろう
魔法使いの上機嫌な鼻歌と共に

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