“本当に、いいのかい?”
「ん〜?まぁ、いいんだよ。俺がいなくなっても何とかなる
だろ!」
…そうは思えないけどな。だって君はみなを愛して愛された魔王だ。そんな存在をすぐに忘れる者はいないだろう。
居なくなれば絶対に動揺するし、悲しむのに。
彼がいなくなること、それを止めることができないことをアーレントはもう理解していた。今はただそばに居て、彼が向かう未来を受け止めて…その未来の先で彼が望むものを守る。そんなことしかできないのだ。
“はぁ…後は遠くから見守ることにするけど、覚えておいて
いつだって僕は君の味方だ。安心して託すと良い。”
その後はニコ!と歯を見せ笑う彼を見てその場を離れる。
ずっと一緒にいれば未練が生まれてしまうから。
“またね、 。僕の可愛い弟子。この世界の魔王よ。”
「さようなら」なんて言葉は言わないで。
いつかくる再会を願い、前を向く。
そんな彼と酷似する魂をもつ人間が魔界に来るなんて、
予想もしていなかったな。とんだサプライズだ!
アーレントの日々はまた色づき始める-
12/4/2024, 5:28:20 AM