Cute!
うさぎ アイスクリーム あめだま
まろやかで甘いかわいさ
ぬいぐるみ 林檎 お針子さん
艶やかで優しいかわいさ
柑橘 子どもの瞳 貝殻のボタン
うるさくてきらきらのかわいさ
ミニカー ブリキ くるみ
ぴかぴかで静かなかわいさ
子犬 プルトイ カルガモのひな
忠実で愚かなかわいさ
猫 きつね イタズラのたね
狡猾で生意気なかわいさ
蚕 大人になりかけのひよこ 立てない仔馬
悲しくて哀れなかわいさ
つぼみ 赤ん坊の手 伝書鳩
楽しくてときめくかわいさ
妻 えんどう豆 1セント
温かい現実のかわいさ
バラ 宝石 芸能界
眩しい夢の中のかわいさ
レース カトラリー ひまわり
華やかな熱異常のかわいさ
雪 ホワイトシチュー ミトン
シンプルな冷正常のかわいさ
私たちは平等に叫ぶ 「かわいい!」
cute!
Bunny, Ice cream, candy,
That's cute is sweet and mellow
Teddy bear, Apple, Grisette
That's cute is glossy and gentle
Orange, Chiled eyes, Seashell butten,
That's cute is noisy and scintillate
Mini car, Tin, Walent
That's cute is silent and sparkle
Puppy, Pull toy, Duckling,
That's cute is loyal and fool
Cat, Fox, Seed of mischief,
That's cute is cheeky and cunning
Silkworm, Baby chicken, Lame foal,
That's cute is sad and sorrowful
Bud, Baby fingers, Homing pigeon,
That's cute is fun and cheerful
Wife, Peas, One coin,
That's cute is reality and familiar
Rose, Jewel, Show biz,
That's cute is dreaming and distant
Race, Cutlery, Sun flower,
That's cute is gorgeous and ardent
Snow, White stew, Mitten,
That's cute is simple and clam
We admire say
"cute!"
無声音の白黒フィルムを持って、走る。
足が泥を跳ね上げる。
降り続く弱い雨が、服の上から纏わりついて、体のぬくみを奪っていく。
白く色を失った手の中に、記録映画のフィルムを強く、握り込む。
雨と曇り空でかすんだ向こうの方で、ちろちろと赤く光る炎があちらこちらで上がる。
焚書の火だ。
書物のあげる悲鳴だ。
雨粒にだらだらと濡れっぱなしで、泥に足を取られないように、地面を跳ね上げる。
この記録だけは、燃やしてしまうわけにはいかなかった。
華やかな祝典、新たな指導者の誕生にわく首都で、ピカピカの折目正しい服を纏った、時の指導者は言った。
「我々に過去を振り返っている暇などない」
その言葉の通り、祝典の翌日には、過去狩りが始まった。
無数の記録が、破かれ、捨てられ、焼かれた。
民間のニュース、商業映画、一般人の書いた本、著名人が書いた本、公的な記録…
そのどれもが、燃え盛る炎に放り込まれ、石油臭い火炎放射を浴びた。
古くから、際限なく記録を溜め込んでいた、図書館や美術館や博物館にも、役所の焚書隊がやってきた。
昔ながらの教会や、歴史的に格式高い修道院のようなところにさえ、役人はやってきて、建物からは無数の記録が吐き出され、燃やされた。
…そして、うちのような国営の映画館さえも。
雨に打たれてもその勢いを消すことのない、焼き付けるような焚書の手が迫っていた。
その時になったら、命に変えてもこのフィルムを掴んで逃げる。
この記録を燃やしてなるものか。
そう決めていた甲斐あって、役人たちの焚書隊が突然、映画館の扉を破った今朝、社長や責任者とは違って、僕は素早く外へ走り出ることができた。
雨の降り注ぐ外へ。
この記録映画は、僕のお気に入りだった。
この映画館でずっと、記録映画のフィルムをセットして、舞台裏で映画を見つめながら、映写機を回してきた僕の、一番のお気に入りだった。
ある美術館の、児童向けワークショップの様子を記録した、記録映画だった。
白黒の記録の中で、きっと鮮やかだったろう筆や紙や鋏を握って、熱心に手を動かす幼い子どもたちの、あどけない真剣な横顔を、記録した映画だった。
白黒のフィルムが映し出す、幼いなりに引き締まった丸い頬の中には、今、この国に君臨しているあの指導者の、幼い姿もあった。
あの指導者も子どもだった。あの人だって人間だ。
この記録映画のフィルムは、そう訴えていた。
だから、これだけは決して燃やしてはいけない。
決して、なかったことにしてはいけない。
僕は今もそう思っている。
霧雨のような雨は、いよいよ激しさを増す。
雨粒で重い瞼を押し開ける。
後方で上がる赤い火のゆらめきが視界の端に入る。
ああ、うちには素敵な記録が、たくさんあったのに。
雨に奪われ、置き去りにする体温の中に、そんな思いを混ぜ込んで、
僕は走る。
雨の中をひたすらに。
手に記録映画のフィルムを握りしめて。
蝉が鳴いている。
爪の間から、自分の血の匂いがする。
ふよふよと頼りない、自分の手首を撫ぜる。
足首につけられた鈴が、しゃりん、と音を立てた。
「さぁ冒険だ」と看守は言った。
実際に、私たちは、未知のこの地を既知にするため、足に鈴をつけられ、位置情報を発する機会と塩と干肉とを持たされて、この未開の異常地に降ろされた。
蝉が鳴いている。
冬なのに。
「さぁ冒険だ」と隣で降ろされた男が言った。
男の空元気は、蝉の大合唱にかき消された。
私たちは、使い捨ての人材だ。
死にたいと言い続けるだらしない無職者だったり、精神的に病んでいて死にたかったり、死刑になりたくて、死刑になるほどの酷い犯罪を犯したりした人間は、みんなこういう風に使われる。
各地に残る、過去の戦闘地に連れてこられて地雷の撤去を命じられたり、
誰も行きたがらない、宇宙や過酷な地でのゴミ処理の仕事を命じられたり、
ちょうど今のように、開拓したい未開の地を冒険させられたり。
何十年前から始まった異常気象は、どんどん悪くなり、今では、異常な自然が広がる、異常空間がこの地にはいくつも点在している。
私たちの仕事は、そんな異常空間の切込隊長。
異常空間を、まともな人材の代わりに調査するのだ。命を賭して。
死を恐れぬ自殺志願者だから。
蝉が鳴いている。
「さぁ冒険だ。早く行け」
頭上のヘリコプターから、まともな、生きたい人間が、指示をする。
蝉が鳴いている。
冬なのに。
私たちは冒険に出る。
帰り道なんて考えない、一方通行の冒険に。
救いなんてない、過酷な冒険に。
「さぁ冒険だ」
私は呟く。
私たちの生き地獄の冒険が、今、始まる。
一輪の 花の柔らかな 命
ちぎり、ちぎり 乙女は占う
一輪の 花の命は 徒に
無情に散る 柔らかな手で
蚊も殺せぬような 清らかな手で
まだ世のことわりも 邪も悪も
唆す蛇も 知らぬ手は
花びら ちぎり ちぎり 捨てる
すき きらい すき きらい
あどけなき まだ未熟な 恋の行方は
花の命より 重要なのか
すき きらい すき…
街の中にも 懸命に咲く
一輪の花より 健気なのか
一人を想う 乙女の恋は
昔の童話も 花は残酷
赤い薔薇は 恋のため咲き
ナイチンゲールは 恋のために死す
しかしその恋は 若者によれば
若気の至り 気の迷い
ナイチンゲールの 血の赤の薔薇
街角の雪に ひっそりと捨てらる
花占いも プレゼントの花も
選ばれるのは 一輪の花
犠牲になるのは 一輪の花
命を賭して 燃やして咲いた
美しい花は 恋の餌食
若い恋は 美しいのか
朝露に花開く 一輪の花より
懸命に咲く 一輪の花より
若い乙女は 恋を占う
一輪の 花の柔らかな命
ちぎり、ちぎり 占う
She tear of
a flower
for fortune telling her romance
A flower die
due to her hand
Her hand is lovely
Her hand is pure
But her hand is chaster
A flower is killed for this hand
“he loves me”
“he loves me not”
She said
A flower dying
“he loves me”
“he loves me not”
Is her romance important?
relative to a flower's life
Andersen said
Romance is cruel
Red rose bloom for romance
Nightingale bird die for romance
But this romance is a mistake to him
Red rose and Nightingale bird's blood
abandoned street snow
A flower is standard romance
A flower is essential romance
A flower become a sacrifice
for romance
A beautiful flower die for romance
An admirable flower die for romance
Is yong romance beautiful?
relative to a flower's beauty
relative to a flower's life
She tear of
a flower
for fortune telling her romance
エネルギーというものは、0から作り出すことは不可能だ。
水を動かそうと思えば、高さという位置エネルギーや、動力という運動エネルギーが不可欠だし、
火を起こそうと思えば、燃料の他に、太陽の光という熱エネルギーや、燃料を擦り合わせる運動エネルギーがいる。
生産者とされる植物たちでさえ、エネルギーを生み出すために太陽の光を浴びる。
基本的に、エネルギーは0からは作り出せない。
生物や自然は、基本的に、エネルギーにエネルギーを加えて、エネルギーを変換、増幅させて、エネルギーを利用している。
0から1を作り出すことは本当に困難なのだ。
1から100を作り出すよりも。
しかし、この世界では、稀に、極稀に、0から1を生み出すという、超自然的なことを行えることがある。
エネルギーなしでエネルギーを生み出すことができることがある。
そういう超自然的な、ありえないことが起きる時、私たちは、人工的に発明されたそれを「永久機関」、個々人や個体、自然現象に発現したそれを「魔法」と呼んでいる。
魔法とは、エネルギーを生み出すことのできる、自然をも超越した、そんな才能を持つもののことを言うのだ。
無から炎の光と熱エネルギーを生み出すとか。
水に触れたり力を加えたりせずに、運動エネルギーを生み出して、水を動かすとか。
エネルギーを生み出すという、超自然的な力のことを魔法というのだ。
それが戦闘や生存に役立つかはさておいて。
魔法とは、無からエネルギーを生み出す力を指すのだ。
…無から生み出せるものが、たとえチーズハットグだったとしても。
それは紛れもなく魔法なのだ。
チーズハットグ、二つ目でもうキツい。
ケチャップとマスタードに彩られたもったりと甘い衣をもそもそ齧りながら、そう思う。
目の前では、魔法が発現した親友が、せっせとチーズハットグを生み出している。
ここ、魔法研究所第二室のテーブルには、既にチーズハットグの山が出来ている。
しかし、まだまだこの山は高くなるだろう。
今日の研究は、親友の魔法の強さや生み出せるエネルギー量、その他詳細を測定する研究だからだ。
アイツの様子を見る限り、おそらくまだこれからは長いだろう…
フードロスは御法度なので、生み出されたチーズハットグは、食べ切らなくてはならない。
永久機関の研究一筋で生きてきた食の細い俺では、実験後に一気食べは絶対キツいことが容易く予想できたので、こまめに記録をとりながら、少しずつ食べることにしたのだが…
しかし、なんでたって、コイツの能力で生み出されたチーズハットグには、律儀にケチャップとマスタードがついているのか。
これらが掛かっていることで、美味しくなるのは分かる!分かるが…
重たい!重たいのだ。フードファイトしている時には!
カロリーがキツい!
いや、カロリーが高い方が、生み出すエネルギーが多いということなので、研究的には嬉しいのだが…
「ごめんな、俺がこんな訳わかんない魔法を持ってたばっかりに」
食が進んでない俺の様子を察したのか、アイツが申し訳なさそうにそう言った。
「もっとカッコよくて役に立つ魔法だったらよかったのに」
自重気味に呟くアイツに、俺はほとんど反射で、声を張り上げていた。
「バカなことを言うなよ!お前の魔法は絶対に役に立つぞ!魔法がなきゃ、永久機関は作れねえんだから。…俺は絶対作るぞ。お前の魔法から、ありとあらゆるエネルギーを作り出す、最強の、『永久機関チーズハットグ』を!」
ぶはっ。
アイツがチーズハットグを生み出しながら、吹き出した。
食べなくてはならないチーズハットグが一本増えた。
「え、永久、永久機関、チーズハットグ?なんだそのダッセェ名前。やだー」
「分かりやすいだろうが。名称は専門家に任せろ」
「いやー、なまじ語感が良いのがよけえダッセェ。ウケる」
「うるっせえ!」
そう怒鳴りながら持っていたチーズハットグに勢いよく噛みついて、口の中に広がるもったりとしたむつごさに、後悔する。
「…なあ、ホント、無理すんなよ…?」
途端に心配そうになったアイツから目を逸らす。
逸らした先の窓には、空が見える。
ずっしりもったりとした、チーズハットグみたいなもこもこ雲が、ゆっくりと窓を横切っていった。