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6/8/2023, 6:47:05 AM

「明日、世界が終わるとしたら、どうする?」
そんな、よくある質問。けれど一番答えに困る質問。
「なんだよ、いまになって。」
「いや、何ていうかしてみたくてさこの質問。」
「相変わらずだな。うーん、やっぱり家族と一日に過ごすかな。ていうか、お前はどうなんだよ。」
「そうだな、俺は───」
彼が口を開こうとして止まる。顔が何故か赤く染まっている
「俺は?」
「俺はこうしてお前と話していたい。だってお前は俺の親友だからな。」
「ふはっ、最高の答えだな。」
「からかうなよ。」
あはは。ひとしきり笑いあった後、シンとした空気になる。外から聞こえるのはいつもの笑い声ではなく絶望に満ちた悲鳴。空から見えてくる大きな石。もうすぐ終わるのだ、この世界は。
「もうそろそろだな。」
「ああ。なあ、お前に出会えて良かったよ。」
「俺も。」
隕石はどんどん近づいてくる。世界が終わるときそばに
親友がいてくれて良かった。そう思いながら目を閉じた。

『世界の終わりに、君と』

6/7/2023, 9:57:33 AM

今日は最悪な一日だった。靴紐が解けてすっ転んでしまうし、教科書は忘れてしまうし災難にも程がある。
それに、お弁当も忘れてしまってもうやる気が出ない。
「はぁあ。」
「大丈夫?」
友人が心配した顔で話しかけてくる。
「今日はもう本当に災難な事ばっかりあってさ疲れちゃったんだ。」
「そっか、大変だったね。じゃあそんな君にご褒美をあげよう。」
「え、何何?」
「はい、私のお弁当一緒に食べよ!」
「いいの!? ありがとう、神様!」
「いいのいいの。」
今日は最悪な一日だが友達と一緒にお弁当を食べれたので少しは良いと思える一日になった。


『最悪』

6/6/2023, 9:00:05 AM

私には誰にも言えない秘密がある。友人には言っていないが恋人がいて、彼は大学ではいわゆるイケメンと呼ばれる類で皆からは憧れの的だったので、私はまだ周りに
恋人だと言えるくらいに彼と釣り合っていないから私がもっと釣り合う人間になるまでは秘密にしている。
そして、今日も私は皆にばれないように彼に会うため
待ち合わせの食堂へ行く。彼はいつもそこで食事をして
いた。ふーふーしながら食べる姿はいつもより可愛い。
パシャリ、とスマホで写真を撮る。今日も彼の素敵な
写真が撮れて満足した。近づこうとすると可愛い女の子が彼の前に座る。仲睦まじそうに話す姿はまるで彼女のようだ。
「ねえ、今度ここ行かない?」
「うん!いいね、じゃあさ───」
そこで、夢から覚めた気分になり立ち去る。もう少し忘れていたかったのにな。そう思いながら家に帰る。暗い部屋の一室には彼の写真が沢山貼ってある。そう、私には誰にも言えない秘密がある。私は彼の恋人でもなんでもない。私は彼のストーカーだ。
「でも、これくらいいいよね。」
うっそり笑いながら私は撮った写真を壁に貼った。

『誰にも言えない秘密』

6/5/2023, 8:00:14 AM

僕はいつも狭いこの部屋に閉じこもる。
「僕」はこの体の主人格だったが、学校での日々に疲れて今は違う人格に預け閉じこもり続けている。
だってこの部屋は僕から辛い事、苦しい事を忘れさせてくれる。殻に閉じこもったまま。何もかも観ないふりをしていく。もう幾日過ぎたか分からない。
「早く死なないかな。この体。」
毎日毎日狭く暗い部屋から祈っている。


「ボク」はこの体の主人格が作り出した別の人格だ。
「僕」は学校での辛い日々に疲れたのか今は暗い部屋に
閉じこもっている。誰も僕を救えない、ボクでさえも。
だから、こうして僕の振りをし続けながら願う。
「僕」があの暗い部屋から出てきて生きられるように
なることを。それまでは「ボク」が君の辛さを背負って
生きていくから。
「誰も君を待っていなくてもボクは待ってるから。」

『狭い部屋』


6/4/2023, 9:44:04 AM

「付き合ってください!」
「ごめんね、他に好きな人がいるんだ。」
「そ、そっか。こっちこそごめんね。」
今日の放課後に告白をした。結果は惨めなものだった。 
元々玉砕覚悟ではあったが実際に「ごめん」と言われるとやはりショックを受けるものだ。
帰り道、誰もいない道を歩きながら私は泣いた。
辛いこの気持ちを吐き出すように。泣きながら思う。
私はこの先彼以外の人を好きになれるだろうか。
それに私は学校で彼に会った時、普通の友達として接する事ができるだろうか。ああ、恋なんてしなければこんな苦しく切ない気持ちにならなかったのかな。
失恋の傷はきっとしばらく癒えはしないだろう。

『失恋』

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