「明日、世界が終わるとしたら、どうする?」
そんな、よくある質問。けれど一番答えに困る質問。
「なんだよ、いまになって。」
「いや、何ていうかしてみたくてさこの質問。」
「相変わらずだな。うーん、やっぱり家族と一日に過ごすかな。ていうか、お前はどうなんだよ。」
「そうだな、俺は───」
彼が口を開こうとして止まる。顔が何故か赤く染まっている
「俺は?」
「俺はこうしてお前と話していたい。だってお前は俺の親友だからな。」
「ふはっ、最高の答えだな。」
「からかうなよ。」
あはは。ひとしきり笑いあった後、シンとした空気になる。外から聞こえるのはいつもの笑い声ではなく絶望に満ちた悲鳴。空から見えてくる大きな石。もうすぐ終わるのだ、この世界は。
「もうそろそろだな。」
「ああ。なあ、お前に出会えて良かったよ。」
「俺も。」
隕石はどんどん近づいてくる。世界が終わるときそばに
親友がいてくれて良かった。そう思いながら目を閉じた。
『世界の終わりに、君と』
6/8/2023, 6:47:05 AM