九至 さら

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10/16/2024, 1:32:24 PM

『やわらかな光』


鼻に抜けるこの香りを、私は知っている。

唯一知っている花の香り。

刺すようだったあの光は、
緩やかに変化していたみたいだ。
どことなく、
太陽が優しくなったように感じる。

いつも煩く鳴いていた蝉の音を、
私はもう思い出せない。

隣で目を擦っている君は、
瞳が潤んで、瞼が少し赤い。

季節の変わり目を、
私たちは知っているようで知らない。

10/15/2024, 10:50:28 AM

『鋭い眼差し』

佳奈ちゃん。
僕は、4年前のあの日から君が好きだ。
囚われて、見世物にされてたあの場所から、僕を連れ出してくれた。
君の、おはようと笑いかけてくれる顔が、名前を呼ぶ声が、僕は大好きなんだ。
君の幸せを誰よりも願っている。
君の泣いてる顔なんて見たくない。
涙を拭ってあげたい。
なんて、無理な話だよね。
僕は、君のことをずっと見てるよ。
君の話をずっと聞くよ。
それしか僕には出来ないから。
だから、笑って。

「おはよう〜、きょんちゃん」

良かった、昨日の顔が嘘みたいに元気な顔だ。

「昨日も、話聞いてくれてありがとね。」
「私、切り替えて頑張るよ。」

そうやって今日も、僕のために餌を入れてくれる。
ガラス越しの君が少しぼやけて見える。

「いっぱい食べてね〜、きょんちゃん。」

10/13/2024, 1:58:10 PM

『子供のように』

最近、私は子供の頃の夢をは見るのでございます。あの頃の私は、おそらく、とても、扱いづらい子供でありました。
母親のことも、先生のことも、クラスメイトのことも、周りの人間全員を敵だと思っていましたから、友達なんて1人もいなかったのでございます。
今思えば、本当の敵は私自身だったのでございましょう。頑張れない私も、醜い私も、素直になれない私も、誰にも好かれない私も、私が愛すべきだったのでございます。
私が嫌いな私自身のことを誰が愛してくれましょうか。
私はこのことに気づくのが大分遅かったのです。
ああ、やっぱり、私は未熟者です。
それでも、私は、そんな未熟者を愛さなくてはならないのです。ええ、そうです、誰かに愛されるためにです。どうしても、私は誰かに愛されたいのでございます。

10/13/2024, 12:44:59 AM

『放課後』

夕日に照らされる教室で君と二人きり。

10/11/2024, 11:14:02 PM

『カーテン』

カーテンをお開けになって、朝日に照らされ、焼かれるのも良いことでございます。
なにぶん、私の朝食はパン派でして、焦げる寸前のトーストを好んでおります。ええ、火の扱いというのは、まったく充分なものでございます。耳に響く、目覚まし時計のピピピという音が、小鳥のさえずりのようで、ああ、わたし、来世は鳥になって、喉が焼き切れるほど鳴いてみたいのです。そして、自分の炎に包まれて、焼き鳥になってしまいましたら、あなたの飲み会のつまみにでもなってしまいたいですわ。
さあ、焼かれてしまいましょう、天からの恵みを全身で受け止めてみましょう、そうして、この生をしまいにしてしまいたいのです。
ああ、なんということでしょう。
今日は雨でございましたか。

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