かわのへ

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6/25/2025, 9:14:09 AM

空は、海は、世界は、こんなにも広いのに

屋上で手を広げて、きみに笑いかけた

何をしても笑わなくなったきみは、

いつもと違ってカラッとした顔をしてた

ふと、きみは立ちあがってフェンスに手をかける

バカで、なにも考えてないわたしは

もう大丈夫かもって、また一緒に色んなとこに行けるって本気で思ってた



けたたましい電話の呼び鈴、母のおおきな声

起きるにはまだ早い時間で、

モゾモゾと布団にもぐりこむと、

バタバタと階段を駆け上がって、ドアを勢いよく開けた母

暢気なわたしを起こして、車に乗せる

着いたのは、きみの家で

家の前で、きみのお母さんは右往左往していた


きみは昨日別れたあと、どこに行ってしまったの?

帰ってこないって、お母さん、心配してたよ



きみから1件のメッセージ

藁にも縋る思いで開いて、

謝りたくなった

わたしはなんにも分かってなかった、分かってあげられなかった

ちっぽけなわけないのに

わたしの尺度で、きみの気持ちを測って

決めつけて


手が届かなくなってやっと気付くなんて、

本当にわたしは、どうしようもないバカなんだ

5/27/2025, 1:50:10 PM

キッカケは下らないことだった
私が気に食わなかったんでしょ

無視
暴言
暴力

どんどんエスカレートしていって
曇った顔をしてた奴らも
あんたと同じようにニタニタ笑って

何度飛び降りようと思ったか

何度あんたの首を折りたいと思ったか

知らなかったよね

私も笑ってたから
イジりの延長だと思って
自分のほうが上だって

誤解させちゃった

これが最後
あんたと私にはお似合いだよね

大丈夫
一緒に地獄に堕ちてやるからさ

だからみっともなく泣くなよ

気持ち悪い

5/26/2025, 6:09:53 PM

あなたはずっと、私にとって雲の上の存在で

憧れて、あなたのようになれたらとどれほど思ったことでしょう

手を伸ばして、あなたに触れたくて

でもきっと、あなたに触れることは私なんかにできない

そう思いつつも、あのとき見たあなたが焼きついて離れなくて

ここまで生きてきました

あなたは大袈裟だと言うでしょうが

私は、あなたの枷になりたかった

あなたの生きる意味になりたかった

あのとき、私の思いを伝えられていたら

あなたはもっと、歳を重ねることができたでしょうか

未だ、天で待ってくださっているのなら

改めて、面と向かってあなたを呼びたいのです

5/10/2025, 4:20:41 AM

わたしの親友は、天才だ
小さい頃から歌でも絵でもとにかく何でも
やったらすぐに上達して、周りを追い越して一番になる

私は、きっといわゆる凡人で
何をやってみても、それなり
上達できても、周りは追い越せない

親友のことは好き
でも、自分には何もないんだなって
私のほうが先に始めてたのに
とか、悪い方にどんどん考えて

突き放したこともあった

棚の隅にすぐに見えないように
スケッチブックが何冊もあった

パラパラと目を通せば、
決して上手くはないけれど、
楽しそうな絵がたくさん
たくさんあった

見漁っていくと、
スケッチブックは中学の頃で終わっていた

残り数ページはまっさらで

机にあるペンが目についた


また、描いても良いのだろうか?

5/1/2025, 10:07:03 PM

ずっと流させれるままに生きてきた

楽な方に楽な方に

生温い風が僕の頬をなでる

今は春だったか

季節の感覚もあやふやで

暗闇の中犬が僕をじっと見つめていた

「来て?」

そう言って手を伸ばす

いつもの様に笑えているだろうか

犬は戸惑うことなく恍惚とした表情で僕の手を取った

君はずっと ただ僕を見つめていたね

墜ちていくなか

撫でつける風と身体が溶け合うように感じながら

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