しめじ

Open App

空は、海は、世界は、こんなにも広いのに

屋上で手を広げて、きみに笑いかけた

何をしても笑わなくなったきみは、

いつもと違ってカラッとした顔をしてた

ふと、きみは立ちあがってフェンスに手をかける

バカで、なにも考えてないわたしは

もう大丈夫かもって、また一緒に色んなとこに行けるって本気で思ってた



けたたましい電話の呼び鈴、母のおおきな声

起きるにはまだ早い時間で、

モゾモゾと布団にもぐりこむと、

バタバタと階段を駆け上がって、ドアを勢いよく開けた母

暢気なわたしを起こして、車に乗せる

着いたのは、きみの家で

家の前で、きみのお母さんは右往左往していた


きみは昨日別れたあと、どこに行ってしまったの?

帰ってこないって、お母さん、心配してたよ



きみから1件のメッセージ

藁にも縋る思いで開いて、

謝りたくなった

わたしはなんにも分かってなかった、分かってあげられなかった

ちっぽけなわけないのに

わたしの尺度で、きみの気持ちを測って

決めつけて


手が届かなくなってやっと気付くなんて、

本当にわたしは、どうしようもないバカなんだ

6/25/2025, 9:14:09 AM