子供の頃、
鳥って羽ばたいて
たくさん、たくさん
羽ばたいて、
飛んでいるのだと思ってたけれど
実際は、
飛び立ちは、羽ばたいて
風に乗ったら、羽ばたいてないんだよね
君もさ、
ずっと羽ばたくのやめて、
一旦、風に乗ってみたら?
怖いかもだけどさ、
案外遠くまで行けると、
私は思うよ
授業の課題っていうか、
授業中に書けなかったから、課題になったんだけど、
一概にさ、
晴れ!とか、曇り!とか、雨、とか
言えんくない?
良い事がめちゃくちゃあった訳じゃないけど、
めちゃくちゃ悪かった訳じゃないし…
曇りのち晴れとか、そういうのしか
わかんないし…
あ…!もうさ、今日の天気にしとこ
したらさ、平々凡々みたいな感じになるっしょ、
そう言って、
シャーペンを走らせる彼女を見て
私は、狐の嫁入りと書いた
地球は丸いから、
だから、この空も、
ずっと、ずっと…!遠くの空も
全部一緒なんだよ
そう言って手を広げ、くるりと回った
でも、実際行ってみると
違う、
何がって…
まぁ…空気感とか?
住んでる人種も違うし、
気候だって違う
日本の中でだって、
北と南で全然空気が違う
空もなんだか違う
だから、全部が一緒になるなんて、それこそ、
…今の形が壊れないとならないんじゃないかと、
……、なんか、今日の星、やけに綺麗だな…
そうつぶやき、タバコを燻らせた
…は、?
なんで、なんでっ、家にいんの、
今更、今更っ、
どの面下げて、帰ってきたんだよ、
っ…、うるさい、うるさいっ、うるさい!!!
償ってきたから、なに、?
母さんと、父さんが、迎えに来てくれた、から?
あたしも、
いや、
無理でしょ、
…無理だよ、
は?意味わかんない、
っ、あたしが、
あんたの、せいで、どんな扱い、受けてたか
わかる?っ、わかんないよね
だって、つかまってたんだから
……とにかく、
あんたが家にいるなら、あたし、部屋に籠るから
階段を上る音。
投げつけられた妹の鞄が何よりも重たく感じられた。
絶対に両片想いだって
周りに言われて、
卒業前に、思い切って自分の思いを伝えたら、
彼女に、君は私にとって太陽みたいだから…と
言い微笑まれた
はい、とか
私も、とか
そういったことは言われなくて
彼女は友達に呼ばれて、帰ってしまった
太陽みたいって、
一体どういうことなのか、
読解問題で、点数の取れなかった俺は、
彼女の気持ちを汲み取れず、
蟠りを抱えて、卒業した
何年も経ち、
それなりの経験を経て、
家族も持った俺は、
あの頃、彼女が好きだと友達に話していたが、
当時は気が進まず手に取らなかった
小説が書店で目に留まり、手に取った
今も、活字は得意ではないので少しずつ少しずつ、
読み進めた
読んで、分かった気がする
彼女にとって、俺は眩しすぎた
触れるには熱すぎたのだと、
恋しさを感じたとしても触れれば、
自分が焼けてしまうから、
だから、触れずに見つめてる
時期が悪かったわけじゃない
寄り添うには、俺と彼女は
歪なのだ
だから、遠くで見つめてる
読み終わり、蟠りが、
スルスルと溶けて、
初めて、人目も気にせず泣いた