木綿

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9/27/2023, 10:55:53 AM

うつくしい、空だった。
晴れているのに、さぁっと雫が落ちてアスファルトの匂いがした。
折りたたみ傘を出そうとコンビニの軒先に入った。

刹那。

聞きなれた音と、雨をすりぬけるような声。
開くドア、油の香り、車へ走る人。
弾かれたように目を向けた先には、笑顔で働く姿。

だれかのえがおが、声が、世界を。
動かしている。
そう体感したぼくもまた。

だれかに支えられているんだ。


「通り雨」

9/23/2023, 12:56:34 PM

ぼくがきみを。
きみがかれを。
かれがあの子を。
あの子が。

みつめる、みつめられる、ふりかえる、瞬く、だれもが。

同じ世界で、同じ時に、ぼくたちは。

入り組んだ窓から別の方向を見ている。
それぞれ誰かを、なにかを。

大切に、想いながら。


「ジャングルジム」

9/22/2023, 10:29:58 AM

何となく開けた引き出しの、奥底に眠る箱。
自分だけの、タイムカプセル。
そっとひらいて、閉じ込めた想い出を手繰る。

いつもなかよくしてくれてありがとう。
これからもよろしくね。
だいすきだよ。

つたない文字が綴るあいのあることば。
なんとなく、だったはずなのに。
想い出はあたたかな雫となり、頬を伝った。

つらくても、苦しくても。
輝いた日々が道標となるから。

いつまでも、たいせつで。
忘れないよ。


「声が聞こえる」

9/22/2023, 3:10:24 AM

古い紙の匂い、まばらに座る人達。
半分ほど空いた窓からは、グラウンドで部活動にはげむ声が聞こえていた。

わたしは、この独特の世界が好きだ。

ぺら、ぺら、とページをめくりながらまた目の前の話に溶け込む。
その瞬間。

やわらかな風に揺れるカーテン。
ひらり、と机に舞い降りた紅葉。
瞳を向けた、そとのせかい。

汗を流し走るクラスメイト。
いつもふざけているくせに、なんで。

一生懸命な姿をぼんやり見送り、届いた紅を静かにみつめた。


「秋恋」

9/20/2023, 9:18:59 AM

ゆめだとわかっている。明晰夢だ。
けれど。

無理だと知っている。嫌でも明日は来るし、拒んでも日々は去る。

だけど、ぼくは。

いまだけでいいから。


「時間よ止まれ」

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