木綿

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うつくしい、空だった。
晴れているのに、さぁっと雫が落ちてアスファルトの匂いがした。
折りたたみ傘を出そうとコンビニの軒先に入った。

刹那。

聞きなれた音と、雨をすりぬけるような声。
開くドア、油の香り、車へ走る人。
弾かれたように目を向けた先には、笑顔で働く姿。

だれかのえがおが、声が、世界を。
動かしている。
そう体感したぼくもまた。

だれかに支えられているんだ。


「通り雨」

9/27/2023, 10:55:53 AM