古い紙の匂い、まばらに座る人達。半分ほど空いた窓からは、グラウンドで部活動にはげむ声が聞こえていた。わたしは、この独特の世界が好きだ。ぺら、ぺら、とページをめくりながらまた目の前の話に溶け込む。その瞬間。やわらかな風に揺れるカーテン。ひらり、と机に舞い降りた紅葉。瞳を向けた、そとのせかい。汗を流し走るクラスメイト。いつもふざけているくせに、なんで。一生懸命な姿をぼんやり見送り、届いた紅を静かにみつめた。「秋恋」
9/22/2023, 3:10:24 AM