パンッ
家のドアを開けたとたん、軽い破裂音とカラフルな紙吹雪とに出迎えられて、僕は思わず目を瞬かせた。
「誕生日おめでとう」
役目を終えたクラッカーの紐を、片手で弄びながら、お祝いの言葉を告げた恋人に、僕はようやく状況を理解する。その途端、思わず泣きそうになった。こんな風に誕生日を祝って貰ったのは、初めてだったから。
黙って立ったままの僕に、おろおろとした様子の恋人に、飛び込むようにして、思いっきり抱きつく。ありがとう。嬉しい。大好き。恋人の肩に顔を埋めて、そんなことを溢れ出るままに伝えると、小さく笑いながら抱きしめ返してくれて。「ケーキもあるよ。食べる?」って、優しい声にまた泣きそうになった。
一年前の誕生日、特別なことの何も無い一日を過ごした僕に伝えたい。
『次の誕生日は、数十倍、数百倍幸せな日になるよ』
お題『一年前』
スペース確保🙇♀️
お題『初恋の日』
※一応、昨日の続きです。
明日世界が終わればいいのに。僕の枕元で、泣きはらした目をそのままに眠ってしまった君を見ながら、そう思った。
そうしたら、君を置いていかなくて済むから。君にこんな顔をさせなくて済むから。
――なんて、全部言い訳だ。本当は怖いだけ。君と一緒に生きていけないことを、認めたくないだけだ。
お題『明日世界が終わるなら……』
やたらと絡んでくる変な奴、それが俺があいつに対して抱いた、最初の印象だった。友達はそれなりに多い方だし、人と話すのも嫌いではないけれど、それでも正直辟易するくらい熱心にあいつは俺に話しかけてきた。正直言ってそこまで気の合うタイプだとも思えなかったし、そこまで俺に構う理由もわからなかったから、最初はひたすら困惑していた。
そんな調子だったから、そのうち周囲には「意外な組み合わせだが仲の良い奴ら」として認識されるようになった。なぜ仲良くなったのか聞かれるたび、曖昧に濁しながら、心の中では『俺が知りたいわ!』と叫んでいた。
でも、不思議とあいつと話すのは楽しくて。一緒に居るのが自然になって。気がついたら、友達以上の存在になっていた。
先に気持ちを伝えてくれたのはあいつだった。『ずっと一緒に居ようね』って、言ったのもあいつだった。
なのに、――なのにどうして、あいつは、俺を置いていってしまうのだろう。ああ、あいつと出逢わなければ、こんなに苦しい思いもしなくて済んだのに。
お題『君と出逢って、』
ふと、目が覚めた。窓の外はまだ暗くて、手繰り寄せたスマホの画面に表示されたのは「4:47」の時間表記。早すぎる目覚めになんだか苦笑が込み上げてくる。当然、隣に眠る彼からは起きる気配すら感じられない。
思い立って、そっと彼の胸に耳を寄せてみる。聞こえてくるのは、彼の心臓が鼓動する音だ。静かに、しかし力強く脈打つその音にはどこか安心感がある。私は目を閉じて、その音に聴き入りながら、もう一度眠りの海へと身を投じていくのだった。
お題『耳を澄ますと』