冬巴

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11/13/2022, 10:09:14 AM

親友が死んだ。
目の前で死んだ。
信号無視した小さい子供を庇って死んだ。
何故、俺ではなかったのか。
優しい心を持つあいつは何故死んでしまったのか。
俺1人、残してあいつは逝った。

「俺もっすぐにそっちに行くからっ…だからっ…少しだけ俺を待って」
「やだ…ね。お前は…来なくていい。」
喋らないで欲しかった。喋ったら死んでしまうような気がした。逝かないで欲しかった。
「俺は…多分先に逝くから…お前を待ってる。でも…長生きしろよ。次会うときは…来世だ。」
もう、駄目なのか。周りの焦る声も聞こえない。俺の心を表すような雨の音と、あいつの声だけが聞こえた。
「また…会おうな」
「…っあぁ、絶対にな」
俺がそう振り絞るとあいつは死んで行った。

まだ気持ちの整理はついていない。でも、
「また、会おう」
そう決めたから。

11/11/2022, 2:14:45 PM

天使病、あなたはそれを知っているであろうか。
その名の通り、突然背中に天使のような白い翼が生え、その翼に希望を吸われてしまい、最終的には自殺に追い込んでしまう病気だ。

そして、私は先日、この病にかかった。
悲しくはなかった。ただ、どうせ翼が生えるなら、死ぬまでに1度だけ空を飛びたいなぁなんて思っていた。私は病気の進行が早く、直ぐに入院となったが、それでも空を飛びたいなぁと思っていた。

飛べないと、飛べるわけが無いと、分かっている翼でも。

11/10/2022, 2:08:54 PM

「けほ…こほっこほっ…」
誰もいなくなった病室で寂しく乾いた咳の音だけが聞こえる。ここにはさっきまで1人の男がいた。帰ってしまって今はいつもいる彼一人だが。


「もう…長くはないでしょう」
元々言われていた余命は残り半年あるかないからしい。今日見舞いに来た彼に言ったことなどないが。彼は毎回花を持ってくる。花瓶に水も入れてくれたりして、なんだかんだ自分よりも花を大切にしている。そして、毎回彼が持ってくる花は変わっていて、今日はススキだった。母親に見せると驚いたような顔をして、その後は泣きそうになっていたかな。あなたは良い友達を持ったわ。そう言っていた。
…何を言っているのだろう。この母は、そう思ったが口には出さない。その代わりに
「どういうこと?」
と聞いてみた。母は
「花言葉を調べて見なさい」
そう言って帰っていった。言われた通りに調べた彼は、誰もいなくなった病室で寂しく1人泣いていた。



ススキの花言葉、生命力、悔いのない青春

11/8/2022, 7:18:07 PM

「今日はいいことなかった」
「明日がすんごく楽しみ!」
「昨日こうしてたら良かった…」
「これから頑張らなきゃ」

毎日に感想をつけて、落ち込んだりやる気になったり、そんなの全部

⟬意味がないこと⟭

11/5/2022, 10:47:38 AM

「あいつまじで無理ー(笑)」
と、そう言われた。言われたというか、俺の陰口が聞こえてしまった、みたいな状況だろうか。
あぁ、そうなんだな、あいつは俺が嫌いなんだなぁと割り切ったように思っていても、友達だと思っていたやつに嫌われているのは、辛いよな。
ガラガラと何かが崩れていく感覚がした。

こんなの今までも何回もあった。元々俺が他人を信じやすく心を開きやすいタイプなんだろう。何度も信じて、騙されて嫌われて、慣れたはずなのにこの感覚だけは消えなくて、
「…ほんと、何してんだろ、俺」
誰もいない部屋で呟いた。

その時ブーブーとスマホがなり、見てみると俺の友達だ。友達と思っている奴、かもしれないが。
⟬なあなあ!明日暇?暇ならあそびにいかねぇ?⟭
と、今の俺の心境とは反対のようなメッセージだった。
でも、それだけで俺は嬉しいと思える。こういうところでは他人に心を開きやすいってのもいいな、と思う。

…あいつは俺を裏切らない。そう信じていられる。
あいつだけが俺の一筋の光。

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