猫又テン

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9/3/2024, 3:54:06 PM

あなたが居れば、それでいい。

もはや依存にも近い感情が、私の中でとぐろを巻いていました。

あなたが笑うと出来る、えくぼ一つで。
あなたが廊下を歩く、足音一つで。
あなたがペンを握る、その所作一つで。

何の変哲も無い日常の一つ一つ。
しかし、その日常の一つ一つで私の心は満たされて、そして同時に、私の愚かな情緒は嵐のように搔き乱されるのです。

あなたと言葉を交わす者。
あなたの視線の先に立つ者。
あなたと和やかに触れ合う者。

その、一つ一つ。

小さなことでした。とてもとても、些細なことなのです。
そんな一つのことで、相手を噛み殺したくなるような嫉妬心が沸き上がるのです。

そんな、そんな蛇のような私なのでした。


『些細なことでも』

9/2/2024, 11:26:24 PM

一寸先は闇でした。
己の手元もまともに見えない闇の中を、手探りで進んでいくような日々でした。

真っ暗な道を歩む中、私の指針となったのは、あなたの言葉。

「いつかね」

その“いつか”はきっと訪れないであろうことは分かっていました。
しかし私は、その言葉のおかげでここまで歩んで来られたのです。

あなたの残酷で優しい言葉が、暗中を進む私の灯台となったのです。


『心の灯火』

9/1/2024, 10:54:46 PM

さようならの五文字が、心を酷く揺さぶるのです。

たったの五文字。随分と前に送られてきたそのメールを、私は未だに開けていませんでした。

開けてしまえば、全部終わってしまう気がして。
いやいや、もう既に終わっているけれど。
それでも私は、一歩踏み出すことを躊躇っていました。

もしかしたら、すぐに踏み出せていれば、向き合っていれば、何か変わっていたのでしょうか。

未読の証は、臆病で怠惰な私の、現実逃避の証でもあるのです。


『開けないLINE』

8/31/2024, 11:27:03 AM

完璧という言葉は、僕のことを指すのです。
完全無欠とは、僕のことなのです。

僕は完璧な人間ですから、何も失敗しません、何も間違えることはありません。何せ完璧ですから、完全で無欠なのですから。

人の意思も、行動も、言の葉も、運命さえも、僕がそうしようと思えば、全てが僕の手の平の上で、僕の思うままに踊るのです。完璧な僕のために、全てが上手く行くのです。

ですが、最近とあることに気付いたのです。
僕は完璧です。それは変わりありません。
ですがですが、僕には友達が居ないのです。

話し相手は居るけれど、それは完璧な僕のために生きる働き蟻ですから、友と呼ぶのはおかしいでしょう?完璧な僕は、当然寛大ですから、蟻を友と呼ぶことも勿論出来るのですが。

完璧な僕に友達一人居ないのは、不思議なことでした。
どれだけ蟻達に情を抱こうとしても、僕には出来ないのです。

そこで、完璧な僕はまた気付くのです。

僕は完璧でも完全無欠でもないのです。
どこかが欠けてしまっていて、それがこの孤独を生み出しているのです。

完璧な僕は、それを理解することが出来るのです。

『不完全な僕』