朝の学校。
嫌いな匂い。嫌いな雰囲気。嫌いな光景。
校門の前で足が動かない日常。
嫌気が差す。
どれだけ毎日笑顔を作り上げようと、止まらない動悸と吐き気。
でも、そんな学校でも、君と出会ってから何かが少し変わる気配がした。
いつもの変わらない日常に現れた安らぎ。
君と出会った日。その日だけは帰りたいなんて言葉がわかなくなって。命を燃やす人がどうして神や祈りに縋るのかがわかった気がした。
君と近づきたくて、沢山の事をした。
人形を持って君の前に出てみたり、君の好きなもののことを知って話をしてみたり…。
その日から自分の心は君中心の考えになってるって、今日気づいた。
何回君と話してるんだって、話だよね。
今さらすぎる。
そう、今さらすぎるけど気づいたんだよね。
君と話したり、君の隣にいると、ワクワクとは違う何かが起きてること。
君の声。仕草。表情。普段からしているバカなことも。
君の隣ではどれも鼓動が高鳴ってしまって、止まらない。
すごく恥ずかしいと思う。でも誇れるものの一つでもあるんだよね。
R.8.3.31
by 向日葵
胸が高鳴る
………僕は…この不条理な世の中に…反旗を翻したかった。どれだけ努力を重ねても最後には全て塗り替えられてしまう。そんな世の中が、憎くて憎くてたまらなかった。
あの時だってそうだ。
僕は沢山練習をして、自分の苦手なことさえ、嫌な顔一つせずに全てこなした。
誰よりも努力した。誰よりも多く努力を重ねた。
それなのにいつもあいつらは僕の上をいく。僕の努力なんて無駄だったかのように、簡単に。
嘲笑われる恐怖や、責められる恐怖が僕の中に押し寄せる。
怒られたくない。強くなりたい。認められるやつでありたい。
最後の夏。
僕はあいつらに敗北を許してしまった…。
最後の最後まで…あいつらに僕は…僕達は…勝てなかった…。
あいつらの上には、いけなかった。なれなかった。
でも、そんな僕達を下のやつらは、
自分達が目指す場所として見てくれている。
この世の中は、不条理なことに満ちている。
だからこの世の中が…俺は大嫌いだ。
あいつらの前で、かっこよくいられないから。
不条理
泣かないよ。
私の前で転んだ君が起き上がって言った一言。
痛そうに目に涙をためている。
少し前までは泣いていたのに。今はもう立派な大人に見える。
小さな小さな体。そんな小さな体を反りあげて。
胸を力いっぱい張り上げている。
大丈夫?もういたくない?
泣きそうな君に私は問いかけた。
うん。いたくない。ぼくつよいもん。そうくんつよいもん。
今にも泣きそうな顔。
昨日まではすぐに泣きついてきたのに、自分で立派に立ち上がっている。
嬉しいような、どこか寂しいような、そんな気持ちが湧いてくる。
おかあさん。ぼくもう、なかないよ。
だってそうくん。もう大きいもん!
眩しいくらいの笑顔を私に向けて君は大きな声。
たしかに昨日よりも君が大きく見える。
笑顔の眩しい君。
お母さんの方が泣いてしまいそうになるよ。
でも、お母さんもそうくんと同じで、もう、
泣かないよ。
そうくんとは、毎日笑顔でいたいから。
そうくん。帰ろうか。
うん!
帰ったらまずは、泥を落として傷の手当と、絆創膏をしようね。そうくん。
自分で立てるようになったの。偉いね。
そうくん。
待って!
ついて出た言葉。
君は足を止めてこちらに振り返る。
少し面倒くさそうにしながらも、僕を心配してくれている表情。
小学生の僕には少しきつい表情だったけれど、今の僕にはあの時の君の心が少しならわかる気がする。
本当は僕を思う優しい心で一杯だったんだよね。
心配とか、そういう言葉では表しきれない君の心。
僕はそんな君が大好きでたまらない。
僕はいつも怯えていた。
周りの言葉に、怯えていた。
昔皆で行った肝試し。僕は怯えてその場にしゃがみこんだ。
そしたら君は、
こんなのが怖いの? だって。
僕は、怖いものは怖いんだ!って、言い返したっけ。
小学生から一緒の君には、何も怖いものはないんだって、ずっと思ってた。
でも、白いドレスを着て立つ君は、肩を震わせていた。僕の隣で。
僕は意外だなって、思うのと同じくらい、自分と似ているところがあることに、喜びを感じたよ。
そっか。君はこういう時に、"怖がり"なんだね。
って。
その日以降も僕は、君の怖がりな所をいつも隣で眺めてた。
どことなく可愛らしくて、愛おしい。
とても…幸せな時間。
沢山見てて気づいたよ。
君は怖がりじゃなくて、強がりだってことに。
皆に弱い所、見せられないって言ってたの、君が酔った時に聞いちゃった。
これからもお隣でよろしく。
僕の強がりなお嫁さん。
僕は君の隣の《怖がり》な夫くん
夜。僕達は空を見る。
空にはいつも一つの惑星の周りを回る光が見える。
明るい空に僕達は願いをこめる。
祈るように。短く三回。
綺麗な空に僕達は願いを伝える。
年に何度か現れる光に向かって。願いを伝える。
叶えてくれるかな?
明日には叶っているのかな?
叶っているといいな。
願いを伝える度にわくわくが止まらない。
叶えて。僕達の願いを。
叶わないと言われた僕達の願いを。
いつの日か伝えた願いを。
何度も。何度も。光が見える度に伝えた。
そしたらね?
今日、僕達の手の中に沢山落ちてきたんだよ。
あぁ…これが星ってものなんだ。
とっても綺麗だなぁ。
空にあった沢山の光は、星として僕達の腕の中で溢れていた。
僕達の願い。叶えてくれたんだね。
僕は腕の中で溢れるその星達を。
優しく抱きしめた。
沢山の星は。とても暖かかった…。
星が溢れる